パワーザイム株式会社 代表取締役 公認会計士・税理士 石 光仁

第2回、第3回では時代に合ったビジネスモデルの立案・再構築についてお話ししてきました。最終回となる今回は、そのビジネスモデルが目もく論ろ見みどおりの成果を出しているのかをどのように管理していけばよいか、その方法についてご説明します。
中小企業経営者や税理士の方の多くがビジネスの成果を知るために利用するのは、損益計算書の営業利益額や売上高営業利益率等の会計数字です。これらは結果確認としては意味がありますが、それ以上のものではありません。経営者にとって重要なのは、個々の事業活動についての有効性をタイムリーに評価することなのです。優秀な企業であっても、個々の事業活動ごとに成果を確認していくと何かしら問題のある箇所は見つかるもので、その問題箇所を改善することが、増収増益の実現につながるのです。

個々の活動の総和が利益を創造する

ビジネスモデルを立案した後は、それを実行するための効果的な事業活動について考えなければなりません。企画した事業活動が顧客を満足させることができれば、それが要因となって商品・サービスの購入につながり、結果として利益が生まれます(図1参照)。
では、効果的な事業活動とは何でしょうか? 
今回もヤマト運輸株式会社(以下ヤマト運輸)を例に取りお話ししましょう。前回は、宅配便事業の内容を時代の変化やニーズに合わせて再構築していくプロセスを図解にしました。今回はそのプロセスで取り上げた事業課題や活動について、筆者が考案した「計画進しん捗ちょく管理表」という管理ツールを使って考察していきます(図2参照)。
ここからは、筆者から見たヤマト運輸の事業活動を仮説として述べています。ヤマト運輸の最も重要な課題は、配達先の多くが日中は不在で、再配達件数が増え続けていることです。この留守宅対策を同社にとって重要な戦略と位置づけ、2つの方策(戦術)を企画しました。「インターネットの活用」と「配達方法の多様化」です。
「インターネットの活用」とは、利用者に同社のインターネット登録会員になってもらい、ネット経由で日時や受取場所変更等ができるようにすることです。

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