AI技術の進化により、税理士の仕事のなかでも多くの部分が自動化されつつあります。
まず、基本的な帳簿の入力やデータの整理はAIを用いることで効率的に行えます。また、税制の変更や法律のアップデートに関する情報収集も、AIの高速な検索機能を活用してスピーディーに実施できます。
さらに、過去のデータを基にした税務の予測やシミュレーションもAIの得意分野です。例えば、過去5年間の収益データを基に、来年度の税金額を予測するなどのタスクは、AIが高い精度で実施することができます。
しかし、全ての税理士の仕事がAIに置き換わるわけではありません。
特に、クライアントとのコンサルティングやアドバイザリー業務は、AIでは難しい部分が多くあります。各クライアントのビジネスや背景を理解し、柔軟なアドバイスを行うには、人間の感性や経験が必要だからです。
さらに、営業活動や新規クライアントの獲得では、相手の表情やしぐさ、声のトーンなどを読み取りながらのコミュニケーションが必要です。これは現在のAIの技術では再現が難しい部分です。
AIの普及により、税理士は単純作業から解放され、より専門的でコンサルティング重視の仕事にシフトしていくことが予想されます。基本的な計算やデータ整理をAIに任せて、人間はクライアントとの深い関係性を築き、戦略的な税務計画の提案などに注力することが可能となるでしょう。
税理士の仕事がAIと共存することで変わっていくなか、人生の豊かさの基準も変わってくるかもしれません。真の豊かさは、効率や生産性だけではなく、人との関係や共感、情熱を追求することにあるといえます。
技術の進歩は私たちの生活や仕事を便利にしてくれますが、そのなかで人間らしさを失わないよう、日々の業務や生活のなかでのバランスを見つけることが重要ではないでしょうか。

株式会社実務経営サービス 
代表取締役社長 板垣 誠

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