パワーザイム株式会社 代表取締役 公認会計士・税理士 石 光仁

私は現在61歳、公認会計士として中小企業の経営者の方々にマネジメント教育ならびにコンサルティングを行っています。
公認会計士を目指したきっかけは、学生時代に読んだドラッカーの著書でした。ドラッカーのように、社会に役立つ企業を数多く指導できるようになりたいと考えたのです。大手監査法人に勤務した後に独立して、節税業務を約10年行いました。しかし、中小企業の経営に役立ちたいという情熱は収まらず、40歳を機にマネジメント業務を本格的にスタートさせました。
銀行系大手コンサルタント会社主催のセミナーなどで講師を務め、そこでご縁を頂いた企業にコンサルティング業務を提供いたしました。そしてコンサルティングを実践しながら、増収増益を実現する独自のノウハウを20年間かけて開発しました。
このシリーズでは、私が蓄積してきた「マネジメント指導のツボ」をご紹介させていただきます。

費用が利益を創造する

私たちがクライアントに損益計算書を説明する際、一般的には「売上高」から始め、「売上原価」→「売上総利益」と続き、最後に「利益」で締めることが多いと思われます。この読み方には〝売上が利益を創る〟という考え方が潜んでいます(次ページ図1「制度会計の考え方」参照)。
〝売上100が利益20を創る〟という考え方が制度会計における損益計算書の思想です。しかし、本当にそうでしょうか。
売上を本当に創っているのは、ライバル社より優れた商品を開発・生産している社員、そしてその商品を宣伝・営業・販売している社員の方々です。社員を雇用すると、給与・賞与などの費用(人件費)が発生します。社員が活動するには、自動車や機械などの設備が必要となり、それに伴って自動車税や減価償却費などの費用が発生します。
すなわち、〝費用が売上を創り、結果として利益を創造する〟のです(次ページ図2「マネジメントの考え方」参照)。
図1と数字は同じですが、読み方が異なります。〝80の費用が100の売上を創り、25の利益を創造する〟という考え方で、これは大きな思想の転換です。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
すべての記事が読める「実務経営研究会会員(有料)」へご登録いただくと続きをご覧いただけます。