月刊実務経営ニュース編集長 久保田 考
ここ最近、AIを巡る状況に極めて大きな変化が起きています。本稿ではそのなかでも注目を集めるChatGPTに焦点を当てて考察をしていきたいと思います。
4月10日に、ChatGPTを開発した米国の研究機関OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が、首相官邸を訪れて岸田文雄首相と面会しました。欧米ではその性能の高さから禁止論まで出ているChatGPTですが、サム・アルトマン氏と岸田首相が面会をしたことは、わが国がChatGPTの利活用に前向きであることを象徴していると思います。
こうした状況を考えるにあたり、そもそもChatGPTとはどのようなものなのか、読者の皆様と一緒に見ていきたいと思います。
ChatGPTとは何か
2カ月で1億ユーザー超の怪物サービス
読者の皆様も、ChatGPTには既に触れておられることでしょう。そして、試しにいくつか質問をしてみて、その回答に驚かれたのではないかと思います。
ChatGPTは、OpenAIが2022年11月30日に公開したサービスです。LINEやチャットワークのような画面で、人間とAIが会話をすることができます。
これが簡単な会話程度だったら話題にもならなかったと思いますが、複雑な質問に専門家のような回答をしたり、小説を書いたり、詩を詠んだり、プログラムを記述したり、ちょっとした文章作成を頼めるなど、人間顔負けの高度な回答をするため大きな話題となりました。
ChatGPTは、公開から1週間で100万ユーザー、2カ月で1億ユーザーを獲得するなど、ユーザー数を急激に増やしています。
OpenAIは、以前から、GPT(Generative Pre-trained Transformer)シリーズと呼ばれるAIの開発に取り組んでいました。GPTシリーズは、GPT-1、GPT-2、GPT-3、GPT-3.5と改良が重ねられ、最新型はGPT-4と呼ばれています。
ChatGPTは、チャットで会話をするために調整された、GPT-3.5やGPT-4の派生型です。