足掛け3年以上にもわたるコロナ問題も、ようやく対応策の形が見えてきたようです。withコロナになるのか、afterコロナになるのか、定めるのはまだまだ難しいですが、それでも人類はこの問題に立ち向かっていかなければなりません。多分、答えは歴史が語ってくれるのかもしれませんが……。いずれにしても、日々の生活は回っていきます。
会計業界も、恒例の税理士試験の日が近づいてきました。毎年、税理士試験の受験者数が減少していることは気になるところですが、昨年あたりから若干受験生の数が増えてきたようで、少しホッとした気持ちです。ただ、会計業界の人手不足は慢性的とも感じます。多くの事務所から、「人が足りない」という声がたくさん聞こえてきます。業界的にはかなり切実な問題となっているように思われます。
各事務所とも、よき人材を得るためにいろいろと工夫を凝らしていますが、最近思わず唸ってしまうような人材獲得の施策を展開しようとしている事務所に出合いました。その事務所に入社した職員さんのなかで、税理士を目指している人たちが希望すれば、大学院に通って資格を取得してもらい、なおかつ、その費用は全て事務所が負担するというユニークな施策です。事務所全体もDX化を進め、時間効率を高めて無駄な残業時間を減らし、大学院に通う時間をしっかり確保する仕組みになっています。それも基本的には希望する職員さん全員に対してです。その費用は、資格取得後も一定期間、事務所にしっかり勤務すれば、返済はいらないとのことです。
もちろん、通常どおり受験をして資格を取得する道もあるわけですが、資格取得は目的ではなく手段ですから、時間効率のよい方法を選択する道もありではないでしょうか。この施策によって、税理士を目指す優秀な人材がより多く集まってくれることを目指されているのだと思いますが、随分と思い切った施策だと思います。
これにかかる費用はかなりの額になるはずですが、代表の先生にお尋ねしたところ、「この施策に費やすものはコストではなく、未来に対する投資です。事務所の利益を削ってでも若者たちに将来を託す想いです」と仰いました。素晴らしい考え方だと思います。この想いが、まさに人材を人財に変えていくのだ、と強く思う次第でした。
今後、会計業界においても人材を確保するための施策は、ますます多様化していくはずです。
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株式会社実務経営サービス
代表取締役会長 中井 誠

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