コロナ、コロナと騒がれ始めてから1年半以上、足掛け3年目に入っています。オリンピックも近づき、いろいろと喧しい状況が続いています。
 そんな状況下ではありますが、会計事務所のお客様である中小企業を取り巻く雇用環境はなかなか厳しいものがあります。採用も大変な状況ですが、雇用の継続・安定をどう守っていくかも悩ましいところです。
 そのようななか、2021年4月から高年齢者雇用安定法が改正され、70歳まで働き続けたい人に就労機会を準備することが、企業の努力義務になりました。少子高齢化が急速に進み人口減が叫ばれるなか、「労働意欲がある高年齢者の能力を活用し、経済社会の活性化を図るため、活躍の場をつくり、その環境を整備する!」というのが目的のようです。
 これまで、高年齢者雇用安定法では定年を65歳未満に定めている企業に対し、65歳までの定年引き上げか定年制の廃止、あるいは65歳までの継続雇用制度(再雇用制度か勤務延長制度等)を導入するように求めており、希望者全員に継続雇用制度を原則、適用することになっています。
 それに加えて今年の4月からは、65歳までの雇用確保の義務付け、70歳までの就業確保を努力義務としました。厚生労働省は「70歳定年への引き上げを義務付けるものではない」としていますが、今までの経緯を考えると、努力義務からいずれ義務化に移行する可能性は極めて高いと予想できます。
 健康寿命が男性72歳、女性74歳と伸び続け、就業できる高齢者は増えています。そのような状況で、今回は努力義務だから特に何も対応しないというスタンスでは、ハローワークなどから努力義務違反に問われる可能性もあり、また指導や助言の対象となる場合もありそうです。
 ある意味では今回の「70歳まで就業」は、組織のあり方や個人の働き方を再考するために投じられた大きな一石のような気がします。では、どのように会社組織のあり方、個人の働き方を変えていくべきなのでしょうか。
 大企業はそれなりの組織、外部ブレーンをしっかり抱えており、それなりの軌道修正、方向転換ができるかもしれません。しかし、多くの中小企業はそのような変化に対応する力は弱いと言わざるを得ません。
 そこで必要とされてくるのは、中小企業の一番身近な存在である会計事務所の皆様です。企業理念の見直し、経営計画の策定、就業規則のリニューアル、社長さんとのより密な面談時間等々、会計事務所がご支援できる分野は無限にあります。
 税務顧問の料金が下がりつつある状況で、より付加価値の高い、企業経営者が本当に必要としている相談事、本当に喜ばれる相談相手となることこそ、会計業界の存在理由ではないでしょうか。
 私ども実務経営サービスでは、会員事務所の皆様のよりよい事務所づくり、お客様に喜ばれる事務所づくりをご支援するため、よきサービスコンテツのご提供、多くの必要情報の発信、そして分かりやすいお役立ちオンラインセミナーの実施、月刊「実務経営ニュース」の発刊と、これからも多面的に会員事務所の皆様方をしっかりと支えてまいる所存です。これからも「実務経営サービス」をよろしくお願いいたします。
株式会社実務経営サービス 代表取締役会長
中井 誠

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
すべての記事が読める「実務経営研究会会員(有料)」へご登録いただくと続きをご覧いただけます。