税理士法人コスモス 代表社員 税理士 鈴木成美

再考を迫られる職員の働き方

今回は、「全職員が『経営者のパートナー』になる」ための方法について、詳しくご説明します。
一般的な会計事務所において、職員は月次の訪問、税務書類や財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行といった従来型業務の重要な担い手です。税理士は職員の働きのおかげで、税務相談や税務調査の立ち会いなど、中小企業の社長さんに感謝される仕事に注力できます。
ただし、職員が税理士の補助的な仕事をしているだけでは、事務所の生産性が上がらないのは前回に指摘したとおりです。
また、会計事務所を取り巻く環境が大きく変化しつつあるため、職員の働き方は再考を迫られています。そこで次項から、職員を取り巻く環境の変化についてご説明したいと思います。

自計化から自動化へ

会計業界では長年、顧問先の自計化が大きなテーマになっていました。
読者の皆さんもよくご存じのとおり、自計化とは日々発生する取引の内容を、顧問先企業が自社で記帳することです。自計化をすれば会計事務所の負担は大きく減りますし、顧問先企業の会計に対する意識も高まりますので、自計化に力を入れている事務所は多いと思います。しかし、人手や簿記の知識などの問題で、自計化できない顧問先も少なくありません。業界全体で見ると、自計化をしている顧問先はせいぜい5割程度でしょう。
しかし、この状況もいずれ変わるだろうとみられています。
2019年10月に消費税率が引き上げられ、併せて軽減税率が導入されました。このとき、テレビのニュース番組や新聞などで、これらに対応できない街の小さな飲食店などが、廃業の道を選んだことが報じられました。
消費税率の引き上げは財政健全化のために必要なことですし、所得の低い方に配慮するために、軽減税率の導入もせざるを得ないと思います。ただし、こうした制度の変更は、中小零細企業に負担をかけてしまいます。
そして将来的には、消費税の仕入れ税額控除の計算が、現行の請求書等保存方式から適格請求書等保存方式(インボイス制度)に変更されることが予定されています。消費税関連に限らず、中小零細企業に負担をかける制度変更は、今後もあるだろうと思います。

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