株式会社アウトバウンド・マネジメント(OBM INC.)
代表取締役 税理士
日上正之

現況の新型コロナウイルス蔓延(まんえん)下にあって、数多(あまた)ある日系中国子会社および中国関連会社を今後どうすべきかの検討は、本社にとってまさに死活問題となります。ただ、製造業のサプライチェーン(供給網)上、中国との関係は切っても切れない関係となっており、中国撤退および事業縮小は完全に本社側が主導し、正面から真剣に考えなければならない問題です。この数カ月、日本や世界が静観しているときこそ、十分掘り下げた検討を本社側で行う絶好の時期であると思われます。本連載では、案件数の多さから中国撤退コンサルタントと称される日上正之税理士に、これまで5回にわたってその外観を書いていただきましたが、今号が最終回となります。

1.はじめに

2019年12月頃から湖北省武漢市を中心に急拡大し、2020年2月以降、本格的に中国全土のみならず、日本においても蔓延し始めた新型コロナウイルス感染症は、世界的にも拡散拡大を続けています。
これに起因して再認識させられたのは、中国の工場が封鎖停止していることによるサプライチェーン拡大の事実です。例えば自動車完成メーカーの場合、中国工場の一部品の輸入が止まって欠落すれば、日本の本社工場も停止せざるを得ないという、日本および中国の事業環境の一体化が進んでいることをあらためて認識させられました1

1 おそらく日本側で使用する中国製自動車部品には、かなりの割合で認証が必要なものが多いと考えられる。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
すべての記事が読める「実務経営研究会会員(有料)」へご登録いただくと続きをご覧いただけます。