エフピーステージ株式会社 代表取締役 五島 聡

「日本経済の屋台骨を支える中小企業を強くすること」を目的に、実務経営ニュースの誌上を借りた連載も9回目です。その内容は、

  • 第1回 日本経済を支える中小企業が危ない(中小企業が抱える財務問題と事業承継問題)
  • 第2回 節税税理士問題
  • 第3回 大事な決算書(意思をもってつくる経営支援)
  • 第4回 実態貸借対照表
  • 第5回 実態損益計算書
  • 第6回 新型コロナショックを転機に経営を変革
  • 第7回 現金損益®
  • 第8回 企業価値棄損原因は2つ、赤字と金の使い方の間違い

などです。

今回は「財務経営」についてです。

「金を残す経営」が最重要

財務経営の定義は「調達と運用を最適化し、利益を最大化する行為」です。どこに焦点を置くべきかというと、売上を上げることでもなく、利益を上げることでもありません。最重要なことは「毎月・毎年、金を残す経営を行うこと」です。
ただ、多くの経営者と話すと、話題の中心は「売上」です。そして、多くの経営者の悩みは「利益は上がっているが金がない!」です。
以下のような設定をしてみます。当期利益500万円、減価償却500万円。生命保険料の資産計上分が1000万円。借金の年間返済額が2000万円だった場合、前々回説明した「現金損益®」では、2000万円の赤字です。金が足らない経営であり、継続ができない経営で、「折り返しの恐怖」に襲われます。
「折り返しの恐怖」というのは、「現金損益®」赤字経営は毎月保有現預金が減少するので、資金がショートする前に銀行から融資を受けないといけなくなりますが、そのときに折り返し融資をしてもらえないという、夜も眠れない恐怖のことです。
銀行は無作為に融資をすることはありません。貸した金を返せる会社であるかどうか、融資審査をするのです。折り返し融資を約束されたわけではありません。
こうして、中小企業経営者は「金の足らない苦労を背負う」ことになります。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
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