事業再生救済士研究協会 会長 公認会計士 税理士 橋口貢一
ディレクター 税理士 大野 晃
事務局長 税理士 藏田陽一

事業再生救済士研究協会(東京都渋谷区)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い深刻な影響を受けている中小企業の経営者を救うべく、今年6月に設立された団体だ。同協会では会計事務所を対象に事業再生のノウハウを提供し、顧問先の事業や経営者の財産を守り抜くことを目的としている。一般的に事業再生と聞くと数億円規模の負債がある案件を想像してしまいがちだが、同協会の会長を務める橋口貢一氏によれば、「1000万円程度の負債の規模でも、事業再生の意義がある」のだという。それは従来までの認定支援機関が提供するような事業再生のスキームではなく、「債務者視点の事業再生」のノウハウを同協会が提供できるからだ。さらに会計事務所が事業再生に取り組むことにより、新たに3つの収益源が生まれるというメリットも見逃せない。本稿では、事業再生救済士研究協会の会長である橋口貢一氏、ディレクターの大野 晃氏、事務局長の藏田陽一氏に、同協会の活動についてお話を伺った。

ベンチャー企業の設立・倒産、個人債務再生を自ら経験

―― 多くの中小企業がコロナ禍で経営に苦しんでいるなか、今年6月に設立されたのが事業再生救済士研究協会です。事業再生救済士研究協会は、コロナ禍で苦戦する経営者を救済できる税理士を養成することを主な活動としています。
本日は事業再生救済士研究協会の橋口貢一会長、大野 晃ディレクター、藏田陽一事務局長にお話を伺います。まずはみなさまのご経歴をご紹介ください。

橋口 私は昭和63年に公認会計士の試験に合格しましたが、会計士の道へは進まず、野村證券へ入社しました。その後、監査法人での勤務も経験したのですが、自身は会計士には向いていないと感じました。そこで、平成7年、私が30歳の頃に野村證券時代の同期とともにベンチャー企業を立ち上げました。ところが、この会社はベンチャー企業として有名になったものの、最終的には12年で倒産してしまいました。
もちろん、この経験は現在の活動に大きく関係しています。自ら倒産を経験し、その後資格を守り、個人債務を再生して自宅と家族を守りきれたことには、大きな意義があると考えるようになりました。
そこで、私は平成24年に株式会社東京事業再生ERを設立しました。私の経験値に基づき、経営難で苦しむ全国の経営者を守るための活動です。身ぐるみ剝がされることなく、事業をなんとか継続し、従業員も取引先も守り、経営者自身の生活・財産・家族を守るお手伝いを一貫して続けています。

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