株式会社アウトバウンド・マネジメント(OBM INC.)
代表取締役 税理士
日上正之

現況の新型コロナウイルス蔓延(まんえん)下にあって、数多(あまた)ある日系中国子会社および中国関連会社を今後どうすべきかの検討は、本社にとってまさに死活問題となります。ただ、製造業のサプライチェーン(供給網)上、中国との関係は切っても切れない関係となっており、中国撤退および事業縮小は完全に本社側が主導し、正面から真剣に考えなければならない問題です。この数カ月、日本や世界が静観しているときこそ、十分掘り下げた検討を本社側で行う絶好の時期であると思われます。
本連載では、案件数の多さから中国撤退コンサルタントと称される日上正之税理士に、6回にわたってその外観を書いていただきます。

1.労働契約終了の方法

中国から何らかの方法で撤退を行うにあたり、最も重要な問題であり再編手続きのなかで一番厄介なのが、事業縮小(リストラ)といえます。人の問題を乗り越えずして、完全な撤退は望めず、最優先は人の処理の対応であると言っても決して言い過ぎではありません。日系現地法人としても、事業縮小をスムーズに進捗(しんちょく)させるための事前検討にあたり、大変に多くの時間と手間を消費することが多いといえます。
なお、事業縮小に手をつけるには、企業として納品責任を第一として製品の作り留めをどの時期にどうやって対処するのかを検討する必要があります。
具体的な事業縮小の方法には、以下の4つの方法が考えられます。

①経済裁員(整理解雇=経済性リストラ。一定人数以上の解除)《労働契約法第41条》

要件として、「削減する人員が20人以上であるとき、または20人に満たないが企業員総数の10%以上」で、以下に列挙される場合に限ります。
⑴企業破産法の規定にしたがって更生を行う場合
⑵生産経営に重大な困難が生じた場合
⑶企業の生産の転換、重要な技術革新または経営方針の調整により、労働契約の変更後もなお人員削減の必要がある場合
⑷その他、労働契約の締結時によりどころとした客観的経済状況に重大な変化が生じたため、労働契約の履行が不可能となった場合
手続きとしては、(ⅰ)30日前までに工会または全従業員に対して状況説明・意見聴取し、(ⅱ)行政部門への報告を行う必要があります。しかしながら、労災、疾病、妊娠・出産期の女性従業員など、一部の従業員を解除することはできません。

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