エフピーステージ株式会社 代表取締役 五島 聡
実務経営ニュースの誌面を借りて中小企業の未来をよくするために、これまで5回連載してきました。
- 第1回 日本経済を支える中小企業が危ない(中小企業が抱える財務問題と事業承継問題)
- 第2回 節税税理士問題
- 第3回 大事な決算書(意思をもってつくる経営支援)
- 第4回 実態貸借対照表
- 第5回 実態損益計算書
今回は急遽(きゅうきょ)テーマを差し替えたいと思います。
コロナショックの大きな影響を受ける会社と受けない会社
新型コロナウイルスの影響で売上が減るなどして、経営が揺らいでいる会社が少なくないのではないでしょうか。一方で売上が増え、多忙を極める会社もあるようです。
私には2008年のリーマンショックで3年間苦しんだ経験があります。米国の証券会社が潰(つぶ)れて日本の中小企業が苦しむことになるとは想像もつきませんでした。資本市場が急激に縮小し、今まで好調だった親族外承継(M&A)事業が急減し、売上が急減してしまいました。そのときに「こんな苦労は二度としたくない」と強く決意し、経営改善へと舵(かじ)を切ったのです。
私が関わる企業のなかには新型コロナショックの影響を受けて大きな痛みを抱えている会社もあれば、影響がほとんどない会社もあります。業種を分類してみると、前者は交通関連や観光関連、飲食関連で、後者は食品関連です。
新型コロナを転機に経営改善を進めるため、3つの考察を深めていただきたいと思います。
⑴「なぜ当社はコロナの影響を大きく受けたのか?」
ダメージを受けていない会社は「なぜ当社はダメージを受けずに済んだのか?」
⑵次に他の経済ショックが起こったとしても「絶対に赤字にしないためには何を変えればいいのか?」
⑶「何があっても絶対に会社を潰さないためには何をどう変革すればいいのか!」
過去の経済ショックを振り返ると、2001年の9・11同時多発テロ、2002年のSARS大流行、2008年のリーマンショック、2011年東日本大震災、2015年チャイナショック、そして2020年の新型コロナショック。10年に一度は大きな経済ショックが起こるといわれていましたが、実際には数年に一度起きています。50年に一度といわれる自然災害(大型台風災害など)が地球温暖化の影響で毎年のように起こっています。これらは今後も起こりうるでしょう。