士業クラウドファンディング支援協会 代表 税理士 伊東修平
クラウドファンディング市場の盛り上がり
連載最終回となる第3回を迎えました。この原稿を書いている5月2日現在、まだまだ新型コロナウイルスは猛威を振るっており、緊急事態宣言の延長や学校の9月入学などが議論されています。帝国データバンクの発表によれば、4月時点で新型コロナウイルスに関連する倒産が100件を超えました。個人店の廃業などを含めると、もっと数は多いといわれており、また本格的な倒産ラッシュは終息後ともいわれています。
そのようななか、クラウドファンディングは大変な盛り上がりを見せています。当社が提携するCAMPFIRE社のプレスリリースによれば、4月の流通額は昨年同月比415%となっています(図1)。
2月から開始され、現在も継続している「新型コロナウイルスサポートプログラム」について、申し込みは現在(2020年5月2日時点)までに約2900件、資金調達を開始したプロジェクトは850件、支援者数は延べ15万人、集まった支援総額は14・5億円と多くの事業者・支援者が集まり、利用者急増が市場環境の変化に起因しています。
公的支援も続々発表されていますが、それでは足りないと危機感を感じている事業者が多いことの表れではないでしょうか。
コロナの影響を受けてどのような業種の依頼が増えたのか
当協会および当事務所でも、新型コロナウイルスにより影響を受けた事業者の支援として、融資や東京都感染拡大防止協力金、持続化給付金、小規模事業者持続化補助金等の支援と並行し、クラウドファンディング支援を行っています。当社単体でも4月単月でコロナ関連のクラウドファンディングの支援は24社ありました。当社の関与したプロジェクトでは、飲食20社、福祉2社、化粧品1社、小売1社という内訳です。新規創業が2社、新事業開発が1社、あとは事業継続目的です。
当社だけでなく、CAMPFIRE社全体で見てみると、やはり飲食が多いですが、そのほかイベント関係、地域活性化、音楽やアート、アニメや映画などが目立ちます(図2)。
前回も書きましたが、融資や補助金等については、制度のスキマから漏れる事業者が多くいます。日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特例貸付については、前年・前前年の同期と比較して5%以上減少等の要件があります。大きな話題となった持続化給付金についても2020年に開業した方は対象外です。
クラウドファンディングは、要件は問わず広く門戸が開かれています。共感を集めることができれば、創業当初でも創業前でも、信用不安があっても資金調達が可能です。