瀧 俊雄
株式会社マネーフォワード取締役 兼 マネーフォワードFintech研究所長。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券株式会社を経て、株式会社マネーフォワードの設立に参画。経済産業省「産業・金融・IT融合に関する研究会」に参加。金融庁「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」メンバー。

行政手続きや金融取引のデジタル化が進むなかで、よく受ける反論が「従来できたことができなくなる」可能性への対応です。これらの論点は、①デジタルデバイド、②インフラコスト、③柔軟性、という3つに代表されると考えています。
 デジタルデバイドは、例えば80歳代のスマホ普及率が5%に満たないなかで、スマホ決済はよくない、という議論です。確かにこのような問題で、リテラシーや身体的なキャパシティーによって、一部の人が排除される可能性を否定することはできません。
 しかし、Apple PayやGoogle Payなどを例に取ってみると、交通系ICカードと同様の内蔵チップを利用しているため、お店ではスマホとカードの両手段を使うことができます。
 さらに、最近のスマートフォンでは読み上げや振動で操作できる機能が付され、目が見えない人に配慮した、やさしい機能の実装が強化されています。このような安心につながる取り組みがなされていることも事実であり、スマホ決済によって広がる可能性を否定するものにはならないでしょう。

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