税務会計系ブロガーサミット・リレーエッセイ ブログ・アウトサイドストーリー ● 151 ● 『税務署は見ている。』著者が提唱する人材育成プログラムとは?
飯田真弓税理士事務所 代表 税理士
一般社団法人日本マインドヘルス協会 代表理事 飯田真弓
みなさん、こんにちは。国税勤務26年、元国税調査官税理士の飯田真弓と申します。
2008年に国税を退職し、税理士登録をさせていただきました。当時、アメブロでブログを書いていたのですが、ちょうどそのころ、大阪で「税理士ブロガーサミット」が開催されることを知り、参加させていただきました。ツイッターもフェイスブックも、日本にはまだ入ってきてなかったように記憶しています。当時は今よりも、まだまだ地味な職業という印象の税理士業でしたが、「税理士ブロガーサミット」は、個性的な税理士さんや、社労士さんなどが集う、画期的な会でした。
私は、税理士以外に、産業カウンセラー、健康経営アドバイザーという資格を持っています。2012年には、内閣府の支援事業者に選ばれ、一般社団法人日本マインドヘルス協会を立ち上げ、代表理事を務めさせていただいています。
定年を待たずに国税を後にしたのは、税理士業をするためではありませんでした。税務調査をするなかで、調べられる側の経営者はお金持ちで幸せなはずなのに、必ずしも幸せそうではありませんでした。また、調べる側の調査官たちも、親方日の丸、将来安泰で幸せなはずなのに、必ずしもそうではないということに気づいていました。
そのような問題意識から、私は在職中に放送大学に入学し、心理学を学びました。放送大学を卒業後、もっと役に立つ心理学はないものかと探し当てたのが、心の病の治療法のなかの表現療法である「コラージュ療法」というものでした。
そして、在職中、ボランティアで開催した「コラージュ療法」のワークショップに、2年間休職されていた方が参加され、深い気づきを得られ、職場復帰を果たされるということが起こりました。当時の私は、国の税金を使うことを考える公務員のなかにあって、唯一、税金を集める税務調査という仕事に誇りとやりがいを持っていました。でも、もっと、人さまのお役に立つことを仕事にしたいという思いも強く持ち始めていたころでした。
「『コラージュ療法』などの心理療法を、もっと多くの方に知っていただきたい! そして、毎年一回、誰もが『コラージュ療法』を駆使したワークショップを受けることを国が義務付け、さらには文化にしたい!」そのような志が立ち、退職を決意しました。
独立開業後、異業種交流会に参加しては、「御社で『コラージュ療法』を駆使した『メンタルヘルスケア研修』をしませんか?」と、言って歩いたのですが、大阪で「メンタルへルス研修」に興味を持ってくれる経営者の方はほとんどいませんでした。
ただ、NHKニュースのおはよう関西で「今、関西で人気のメンタルケアの手法」として取り上げていただけたことは、大変よかったと思っています。その映像は、YouTubeにもアップされているようです。興味を持たれた方は、「コラージュ・セラピー」と検索していただければと思います。
「コラージュ療法」のことを知ってもらいたいという一心でたくさんの方にお会いするなか、「メンタルヘルス研修」とは違ったところで、実を結ぶことが起こりました。2013年、日本経済新聞出版社の日経プレミアシリーズから、『税務署は見ている。』を出版させていただいたのです。人生初の出版でどうなることかと思いましたが、5万部を超えるベストセラーとなりました。昨年、5年ぶりに増刷になり、ロング&ベストセラーとなっています。本を読んでくださった法人会、納税協会、税理士会、各種団体や組合の方々からご依頼を頂き、税務調査に入られにくい企業体質にするにはどうすればいいのかというお話をさせていただくことが、私の税理士としての仕事になっています。
「コラージュ療法」を駆使したワークショップを実施してほしいという企業様が、ぽつぽつと現れ始めたのは、ストレスチェックが義務付けられてからだと思います。ストレスチェックをした後、何をすればいいのか分からない、社員がメンタル不全にならないようにするには、どんなことをすればいいのだろうか。そのようなご相談から、社員研修をさせていただくようになりました。
私は医師でもなく、心理学者でもないので、「コラージュ療法」という言葉は使わず、「エコラージュ®」という名前をつけ、商標登録しています。
ここで少し、「エコラージュ®・ワークショップ」がどんなものなのか、説明させてください。「エコラージュ®・ワークショップ」とは、いらなくなった雑誌やチラシ、旅行のパンフレット、新聞、写真などを、四つ切サイズの画用紙の上に、自由に切り貼りするワークショップです。作品を作る前には、3つのことをお伝えします。