株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士 
長山 宏

 今回は、会計事務所における戦略MG(以下、MG)の活用法をご提案します。具体的には、会計事務所がMGを使ったコンサルティングを行うことで、中小企業のCFO(財務責任者)を養成できるようにする方法をご紹介します。
 会計事務所と顧問先企業との関係は大変緊密なものです。なぜかといいますと、会計事務所は顧問先企業の財布の中身を把握しているからです。そのため、顧問先企業は会計事務所に対して、自社の金庫番としての役割を期待しています。
 しかし、会計事務所は借入を必要としない業態です。銀行交渉や、銀行が求めているような資金繰り、キャッシュフローに関する知識を、自事務所の経営のなかで身につける機会がありません。
 実務が伴っていないので、会計事務所は銀行交渉や資金繰り、キャッシュフローなどの指導があまり得意ではありません。
 そのため、顧問先への指導や助言の内容は、経営計画がメインになってきます。実際、会計事務所のMAS(マネジメント・アドバイザリー・サービス)業務の中心は経営計画指導です。
 そこで本稿では、経営指導の定番である経営計画指導に、MGがどのような付加価値を付けられるのかをご説明します。

MGを活用した経営計画指導

 解説に入る前に、ここで簡単にMGの概要についておさらいをしておきます。
 MGは4〜6名が1グループとなって、プレイヤー全員が「会社の社長」となり、各自がひとりで会社を経営します。そして、さまざまな経営判断を行うことで、他のプレイヤーと自己資本の高さを競います。
 ゲームのなかでは1期が終わるごとに決算を行い、決算書を作成します。そして、3期目以降は計画(経営計画)・実行・評価・判断をします。これをコースにより3〜8期行います。
 MGでは、経営計画を立案し、そのとおりの結果を出せるような工夫がなされています。
 MGにおける経営計画はゲーム用ではありますが、経営計画立案のロジックと骨格を十分に把握できるようになっています。
 MGで経営計画を考える際には、ゲームが終わるまでに何回販売のチャンスがあるのか、平均売上予想から次期の売上はどのくらいになるのか、経費はどれくらいかかるのかを予想しながら、適切な数字を割り出していかなければなりません。
 その際の具体的なポイントは、以下の3点です。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
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