坂野上満税理士事務所 坂野上 満
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20世紀終盤の会計事務所お仕事事情
私は1997年9月に税理士事務所に就職し、1999年11月の税理士登録を経て、2002年4月に独立開業しました。現在、業界23年目、独立18年目となりますが、この間の仕事の変化について振り返ってみたいと思います。
私がこの業界に初めて入った頃は、オフコンから汎用PCソフトへの転換期でした。お客様のデータも、今のようにハードディスクやクラウドではなく、お客様ごとに3・5インチフロッピーディスクを作成し、その中に保存していました。ですから、コンピューター上でお客様のデータ、例えば試算表を見ようとしてもすぐには出てきません。フロッピーを読み込むカタン、カタンという音がしてから出てくるのです。保存するときも、同じような音を聞きながら数秒経って音がしなくなってからイジェクト。とても牧歌的な時代だったといっていいでしょう。
とはいえ、申告書の作成はできました。今のようにレーザーカラー印刷などはまだまだ高嶺の花でしたから、申告書は税務署で配布された申告書用紙をプリンターにはめ込んでの印刷でした。この申告書用紙にはお客様ごとの名前や基礎控除の額などがプレプリントされていますから、印刷は一回しかチャンスがありません。何度も間違いがないか、はめ込みはずれていないかなどを確認してから、胸をドキドキさせてやっていたのを懐かしく思い出します。
まだ20世紀でしたから、当然のことながら電子申告もありません。2月の雪が降り積もる時期に印刷を終えた申告書や控えを持って、夜な夜なお客様を一人ひとり訪ねては押印を頂いて回ったものです。基本的にアナログでものごとが回っていた時代です。
このような時代でしたが、幸い総勘定元帳の記帳はプリンターがやってくれましたから、そこに膨大な時間を取られることはありませんでした。独立してから先輩にお聞きしたのですが、コンピューター会計が世の中に出てくる前、総勘定元帳はどのように作成していたのかというと、例えば3月決算法人の場合、決算は伝票と試算表だけで5月の申告期限に間に合わせ、6月以降の夏場のヒマな時期に手書きの総勘定元帳を作成していたとのことでした。