大林茂樹

 いよいよ来年、東京オリンピックが開催されます。残念ながら、選手として参加することはかないませんでしたが(笑)。
 東京オリンピックのゴルフ競技開催会場になっている地元埼玉県川越市にある霞ヶ関カンツリー倶楽部のボランティアにダメもとで応募したところ、採用されることになりました。
 拙者が普段やっているスポーツは、バドミントンとボウリングです。ゴルフは、どうも自分には向いていないようで、ゴルフバッグが埃をかぶっているような有り様です。
 ボウリングが公開競技に採用されたほうが本当はうれしかったのですが、やはり自分の地元でオリンピックが開催されるというのは、なんとなく誇らしい気持ちがします。

顧問先第一号はゴルフ場

 普段ゴルフをやらないにもかかわらず、不思議とゴルフには縁がありまして、顧問先第一号は、残念ながら後に経営破たんをしてしまいましたが、ゴルフ場の運営会社でした。ゴルフをやらないのに、ゴルフ場の税務やコスト構造や運営上の問題点などは、おそらく他の税理士よりもかなり詳しいほうだと思います。
 ゴルフ場独特の勘定科目は、コース勘定です。通常、植栽などの緑化施設や庭園などは、減価償却が可能です。ところが、ゴルフコースのフェアウェー、グリーン、築山、池などはコース勘定となり、非減価償却資産となります。減価償却できないので、経費化できず大変だと思われますが、そういう実感が湧かないのがゴルフ場の経営です。
 経営上もっとも負担が大きいのが固定資産税です。原則として宅地並みの課税ですので、関東圏ですと、重くのしかかります。宅地並みの課税なのであれば、文字通り宅地にするか、あるいは大規模なショッピングモールにしたほうがよほど儲かると思います。平日1万円前後で昼食付きというプレーフィーでは、経営努力を徹底しないと儲からないのです。
 また、コースのメンテナンスも大変です。環境問題もあるので、一番効果のある肥料や除草剤を使用することができません。最終的には手作業で雑草を手入れすることになってしまうのです。
 台風や降雪によるコースのクローズといった天候にも左右されます。ゴルフ場の顧問をしていたときは、台風や降雪があると資金繰りが大丈夫だろうかとハラハラドキドキした記憶があります。
 結局、顧問先だったゴルフ場は、バブル時代の借入金負担もあって、残念ながら法的整理を余儀なくされました。とはいえ、顧問先第一号だったゴルフ場での経験は、駆け出しの税理士だった自分にとって、かけがえのないものとなりました。いまある自分は、ゴルフ場に育てられたといっても過言ではありません。

名門ゴルフ場で受けたカルチャーショック

 ゴルフ場を運営する会社の税務顧問をやっていた関係で、名門といわれる格式の高いゴルフ場に何回も足を運んだことがあります。格式の高いゴルフ場といってもピンと来ないかもしれませんが、一度足を運べば、よほど鈍い人でない限り、強いカルチャーショックを受けると思います。
 ゴルフ場までは、マイカーにゴルブバックを積んでいくものだと思っていましたが、名門ゴルフ場は、そもそも自分が車のハンドルを握っていくようなところではありません。駐車場にズラリと黒塗りの高級車が並んでいましたが、どの車にも運転手が待機し、運転手専用の休憩室まで設けてありました。
 自分がハンドルを握って車を運転していること自体が、とても場違いな感じがしました。
 もちろん、会員のなかには、自らハンドルを握る方もいらっしゃいます。でも、会員自らハンドルを握る車は、2ドアクーペのロールスロイスやフェラーリのようなスーパーカーです。ベンツやBMWでは箔が付かない世界なんですね。
 もちろん、ゴルブバッグは自分専用のロッカーに置いてあるわけですから、ゴルブバックを積むこと自体、なんか恥ずかしい思いをします。そんな異様な空気を察して、自分の車を目立つところに駐車するのが畏れ多いような気分になり、自然と駐車場の奥の目立たない木陰に駐車をしました。どうやら、駐車場に停める場所も会員同士のあうんの呼吸で決まっているらしく、下手に常連客の場所に駐車したら、白い目で見られそうな雰囲気がありました。
 日本には、欧州にある「サー」や「デイム」のようなハッキリとした階級社会はないので、普段の世界で階級を意識するようなことはありませんが、世の中には、知る人ぞ知る雲上人の世界があることを知り、大変勉強になった記憶があります。
 霞ヶ関カンツリー倶楽部は、名門といわれるゴルフ場の中でも、最も格式の高い部類に属するゴルフ場なのです。

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