TAXDESIGN Head 宮本直樹

 私の車は、27年前の年代モノのBMW (E-B20 320i カブリオレ、次ページ写真)。私が営む税理士事務所(個人事業主として)の固定資産計上・経費計上をし、そこそこ立派に働いてくれるオンボロ営業車です。
 今回、この車にまつわる「会計・税務」について、つらつらと書いていこうと思っています(太字の箇所が税務・会計の内容になります)。
 この車、一般的に知られるドイツ製BMW3シリーズの、幌が開く4人乗りのオープンカーバージョンです。1980年代後半~1990年代前半のバブル時代に一世を風靡し、「六本木のカローラ」と揶揄されるほど、東京の一部地域を闊歩していた車種だったようです(メルセデス・ベンツ190が「小ベンツ」といわれていた時代です)。
 1990ccの割合小型で、5ナンバーの幌型(布製の屋根で、台風・豪雨になるとモロ雨漏りします)、FR(後輪駆動)なので、雪山へ行くと面白いようにツルツルと滑ります。当時のカタログによれば、129馬力と記載がありますが、何せ27年前の工業製品ですから性能低下は避けられず、パワーチェック(工場で馬力を測る)はしないまでも、100馬力以下に下がっていることかと。現代の車に比してスピードはさほど出ず、なんともまあ修理が多く、クラシックカーの部類に入りつつあります。
 スポーツカー、オープンカー、2シーター、スーパーカーなど、特殊な車や趣味性の高い車は、会社でも、個人事業主でも、固定資産にも経費にも絶対にできないという都市伝説があります。しかし、一概にそうともいえず、固定資産および経費になることは大いにあり得ます。
 私のケースでは、プライベートでは週1回程度使用し、クライアント先までの移動手段、日々の通勤手段としてメインで使用しているため、会計上、保守的に事業割合を3分の2として固定資産および経費に計上しています(いわゆる家事按分計算)。
 この車の初度登録年月日は1992年。登録が2006年3月以前のガソリン車は、自動車税・自動車重量税がいわゆる重課となり、税金が高くなります。自動車税は13年経過で増税、自動車重量税は18年超過で増税です。ガソリンといえば、現行のBMW3シリーズはハイオクですが、この車はレギュラーガソリン。燃費は市街地7キロ、高速10キロ程度で、財布にほどほど優しくて気にならない塩梅です。
 販売当初390万円(1992年は消費税が3%の時代)でしたが、車の所有者が5人入れ替わり、私は2015年にクライアントからの個人売買で、たったの〇〇万円で購入。中古車の耐用年数を見積もる場合には、「簡便法」を用いることが認められていて、法定耐用年数を全て経過している中古車の場合の簡便法による計算式は、耐用年数=法定耐用年数×20%(1年未満の端数は切り捨てされ、計算結果が2年以内の場合なので耐用年数は2年になります)。
 普通自動車の法定耐用年数は6年となっており、登録から相当経過しているため、法定耐用年数を全て消化していることになります。(耐令3、耐通1-5-1~4)。
 そもそも外車は壊れやすく、道が狭くて直線が少ない日本には向いていないという都市伝説も聞かれます。イタリアのとあるメーカーはそれに当てはまる気がしますが、ドイツ車はポルシェやアウディを例に、小回りが利き、大変頑丈だと思っています。法定耐用年数を5倍も経過した固定資産ですと、車に限らず建物でも機械でも何かと大規模修繕や定期的なメンテナンスが必須になってくるものです。この営業車も大規模な改修を行わざるを得ませんでした。
 修繕費・消耗品費・資本的支出で会計処理をした内容の一部を以下に列記します。車が動かなくなったというようなどうしようもない甚大な故障に見舞われることはほぼなかったと考えているので、これは「経年劣化が主因による部品の定期的なメンテナンス・保守保全」という認識で淡々と修理に臨んでいます。結果、購入価額より修繕費・消耗品費・資本的支出の総合計を余裕で上回る金額にまで積み重なっています(ただし、積算しても新車を購入するほどには現状かかっていません)。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
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