パワーザイム株式会社 代表取締役 公認会計士・税理士 石 光仁

前回は「ビジネスモデルのつくり方」についてお話ししました。どんなに素晴らしいビジネスモデルであっても、永遠に成長を続けられる事業はありません。いずれ事業は停滞し、衰退していきます。ではなぜ、停滞・衰退という状態が起こるのでしょうか。また、そのような事業を再び成長させることは可能なのでしょうか。現在、多くの中小企業経営者がこの点について悩んでいますが、今回は時代の変化に対応したビジネスモデルの修正方法について説明していきます。

あらゆる事業は必ず衰退する

前回は「事業のライフサイクル曲線」の前半部分を取り上げました。事業を開始した「開発前期」、顧客ニーズをつかみ始めた「開発後期」、事業が軌道に乗り、増収増益が実現する「成長期」です(図1参照)。今回お話しするのは後半部分、成長後の事業についてです。
発展した事業も、やがて業績が停滞するときが来ます。この状態を「成熟期」といいます。「成長期」の後半になると、商品を研究したライバル企業が、類似品をより安い価格で市場に投入してきます。その結果、自社の商品価値は相対的に低下し、競争状態に陥って業績が停滞することになるのです。つまり事業としての価値に独自性がなくなったということで、レッドオーシャンの状態になることを意味します(図2参照)。
やがてその市場には、新しい顧客ニーズを満たす、今までにない画期的な商品を開発・投入するライバル企業が現れます。その結果、自社の商品価値は大きく下がり、顧客はライバル企業に流れ、業績は減収減益となります。これが「衰退期」です。言い換えれば事業としての存在価値がなくなった状態です。逆にライバル企業はブルーオーシャンの状態にあり、先行者利益を得ることができます。
しかし、「成熟期」「衰退期」に入ったからといって悲観する必要はありません。事業価値がなくなったわけではなく、ここでは〝顧客のニーズが変化した〟と考えます。時代が求める新たな商品を探し、開発することがポイントで、事業の「再開発期」ととらえるべきなのです。

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