税理士法人徳島 代表社員 税理士・行政書士 日下雅史
4つの会計事務所が水平合併して誕生した税理士法人徳島(徳島県徳島市)。社員となった4名の税理士が互いを尊重し、各自の得意分野で強みを発揮することにより、税理士法人全体として充実したサービスの提供を実現してきた。設立から10年経った現在では税理士は7名になり、行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引主任者、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家を多数擁する総合事務所へと成長した。顧問先からは、融資や経営計画などのコンサルティングに強い税理士法人として厚く信頼されている。今回の取材では、事務所の合併を成長に結びつける秘訣、さらに情報システムの活用などについて、代表社員の日下雅史氏(写真)に伺った。
水平型統合で誕生した税理士法人徳島
―― 税理士法人徳島は、4つの会計事務所が合併して誕生した会計事務所です。現在では県内屈指の会計事務所といえますが、まずは設立の経緯についてお伺いします。
日下 税理士法人徳島は、平成18年に森内昭男先生、岡田正和先生、北條伊織先生、そして日下の4名の税理士事務所が合併してできた税理士法人です。4事務所が対等合併した水平型の組織で、現在は職員が約30名、税理士が7名所属しています。
合併のきっかけは、近年、顧問先のニーズも多様化し、それらに税理士がひとりで対応するのは、これからの時代、難しいといえます。ひとりではなく複数の税理士の知恵を持ち寄ることで、お客様により質の高いサービスをご提供できると思いますし、自分に万一のことがあったときも、お客様や職員に迷惑をかけるリスクが回避できると考え、仲の良かった森内先生、岡田先生、北條先生に法人化の話をしたところ、賛同していただいたという経緯になります。
―― 法人化してから10年が経ちましたが、顧問先の反応はいかがですか。
日下 当初は4名の税理士がそれぞれ顧問先を持っていたわけですから、どうなるのか若干の心配はありました。しかしこの10年間で、法人になって迷惑を被ったといった話をお客様から聞いたことはありません。逆に、法人化して安心感が増したという声はよく聞きますので、ほっとしているところです。むしろ法人化以降、金融機関からの紹介も増え、さらに県内でもある程度規模の大きなお客様を紹介していただくようになりました。金融機関からの信用も厚くなっていると思います。
―― 水平型の組織ということで、法人設立にはある程度ハードルもあったのではありませんか。
日下 4名とも統合前は一国一城のあるじだったわけですから、当然、各自が事務所経営に対する考え方を持っており、それが同じ部分もあれば違う部分もありました。ここをまずは統一しなければなりませんでした。
そこで、私が最初に言ったのは、「言いたいことを言わず、やりたいことをやらずにいたら絶対に長続きしないから、何でも胸襟を開いて話し合っていきましょう」ということでした。
事務所の風土も顧客サービスの内容も事務所ごとに違いますし、意見の相違はあって当然。そこは、腹を割った話し合いによって解決していこうということで、まず取り掛かったのは経営理念の作成でした。
そして、「税理士法人徳島は税務会計および、会計を通してお客様を元気にし、繁栄する明日を築きます。税理士法人徳島は、お客様、従業員、およびその家族の幸せを築き、地域社会の発展に貢献します」という理念を4名で作り上げました。さらに、「それはお客様のためになっていますか。私たちは最新の知識と情報を集めて、常に最善を尽くします。私たちは常に明るく前向きに、情熱を持って仕事に取り組みます。私たちは常に報告・連絡・相談を心掛け、チームワークを高めます」という行動指針も作りました。
―― やはり税理士が複数所属する税理士法人においては、経営理念や行動指針は必要ですね。