井上雅之
Paris Miki International SA

海外生活も今年で43年になる。パリとジュネーブで育ち、現在はチューリッヒで生活している。
先日、20年ぶりにA銀行の元同僚たちと同窓会を行った。皆同世代の仲間たちであるが、今でも銀行で勤めているのは、集まった12人のなか、わずか3名であった。そしてファミリーオフィスや投資顧問会社、また政府系年金基金などで金融業務に携わる者は5名、その他の4人は銀行を卒業して劇的なキャリアチェンジを行っていた。歯医者、高校講師、大学病院の財務部長、そして最も印象的だったのがスイス鉄道に転職したサミーだった。彼は電車運転士となり、幼い頃の夢をかなえていた。そして銀行を退職したことに1ミリの後悔もなく、毎日楽しくてしょうがないと語っていた。
プライベートバンキングや商品取引のメッカとして知られるジュネーブでは、ジュネーブ大学経済学部を卒業する多くの学生たちが銀行に就職をする。金融業はスイスの一大産業であり、GDPの13%を占めている。そして弁護士や会計士、またITエンジニアなども含めると、労働者の10人にひとりは直接、また間接的に金融業に携わっている。

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