海外生活も今年で43年になる。パリとジュネーブで育ち、現在はチューリッヒで生活している。
先日、突然一通の書留が届いた。ビルの全面改装を行うので、1年以内にマンションを退去するようにとの管理会社からの通達だった。スイス最大の都市であるチューリッヒ市内で新居を探すのは至難の業であり、わが家の一大事だ。
マンションの住民たちからは、自分たちの権利を守るために弁護士を雇うので一緒に戦わないかと誘われた。しかしビルのオーナーは大手保険会社である。彼らは不動産のプロであり、多くの弁護士を抱えている。どんなに頑張ったところで勝算は低く、せめて立ち退きを数カ月間延期できる程度だと、「戦う会」に参加することをお断りした。ブラックリストに載ってしまうより、円満に退去して次の行き先を管理会社に紹介してもらうほうが得策である。

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