井上雅之
Paris Miki International SA 

海外生活も今年で43年になる。パリとジュネーブで育ち、現在はチューリッヒで生活している。昨年の秋、公園を散歩していると、どこからかあのなんともいえない独特な悪臭が漂ってきた。周りを見渡すこと数秒、小道脇にイチョウの木と大量の銀杏が落ちているのを発見した。急いで家にポリ袋を取りに帰り、銀杏狩りを楽しむ。すると、不思議そうにわれわれの様子を窺う人たちに、「それ食べるの?」と10分おきに声をかけられる。そして食べられると分かると、実ごと口に入れようとする人もいるので、慌てて止めるが時すでに遅し。昔、パリの公園でクワガタを捕っていたら、「それ食べるの?」と聞かれたことを思い出す。欧州では銀杏を食べる習慣も、クワガタを「ペット」として飼う習慣もない。
食文化は国や地域によって大きく異なる。海のないスイスでは、フランスやイタリアのように海水魚をあまり食べないが、ロシュティ(スイス風ハッシュドポテト)やフィレ・ド・ペルシュ(レマン湖などでとれる淡水魚)、またラクレットやフォンデュなど、さまざまな郷土料理がある。

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