司法書士法人ソレイユ 代表社員 司法書士
杉谷 範子

人生100年時代を迎えた今、従来の死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「信託」「生命保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けています。

最近、相続の相談でめっきり増えているのが、相続人の1人(特に配偶者)が認知症になっている場合の取り扱いについてです。父親が亡くなったときに、母親が認知症のケースが多いのですが、どのような問題が起きてくるでしょうか。

相続人である子どもCさんが困ったケース

父親Aが80歳でお亡くなりになった。
相続人は母親Bと長男C、長女Dの3名。
母親Bは75歳で認知症の診断を受けている。
Bは、物忘れが多くなったが、家族との会話はスムーズであり、名前も書ける。しかし医師の診察のときは、緊張してしまい思うように受け答えができず、沈黙がちとなってしまっていた。そこで、通常の生活態度を反映しないまま、「認知症」との診断結果がなされてしまっている。
Aは遺言書を作成していない

成年後見の申立

CがAの相続手続きをするためにネットで調べたところ、以下に関する事項を発見しました。

①Aは遺言を残さなかったため、母と子C、Dとの遺産分割協議が必要。
②遺産分割協議の際に相続人が認知症のときは、その相続人の代理人として成年後見人を家庭裁判所に選んでもらわなくてはならない。
③その成年後見人と子どもで遺産分割協議をする必要がある。

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