会計事務所が知っておくと喜ばれるオーナー経営者のための「お金の話」「第2回 ハイリスク請負業の中小企業経営者は「守る財布」にお金を残そう!」
ニッケイ・グローバル株式会社 代表取締役
MDRT終身会員
大田 勉
社長の可処分所得をトコトン増やす具体策
お金を守って残す手法を考えることのきっかけになったのは、私の父です。父はもともとサラリーマン(大阪市の職員)だったのですが、飲食店を起業しました。いわゆる、脱サラ起業の失敗で、家庭の不和の果て、両親は離婚してしまいました。高校時代の親友のお父さんも鉄工所の会社の社長だったのですが、借金を苦にして自殺をしてしまいました。
そんな「社長」を見てきたからでしょうか。社長って本当にハイリスク請負業だと思います。事業で失敗すると、自分に非がない取引先の倒産であっても、貸し倒れがあればわが家を失うかもしれないし、家族はいなくなるかもしれないし、命まで落としてしまうかもしれない。
特にお金のことなんて、誰を信頼していいか分からないじゃないですか。そんな厳しい道を歩く社長、中小企業のオーナー経営者をサポートできるようになりたいという想いが、今の私の原点になっています。
社長可処分所得を増やす具体策のセミナーでも、「小規模企業共済の控除を使いながら積み立てを行えば、年間84万円、10年で840万円、役員の奥様と2人ならその倍額を将来のリスクために残すことができる!」と、まず第一にお伝えしています。所得控除で有利なこと以上に、自己破産をすると借金の返済義務からは免れますが、保有している財産は没収(差し押さえ)されてしまいます。このお金は自己破産しても差し押さえられない資金(差押禁止債権)なので、社長の手元に残ることをお伝えしています。
そのほかに差し押さえ禁止債権であり、社長の将来の資産形成にもつながるものとしては、個人型の確定拠出年金であるiDeCoや企業型の確定拠出年金の資産も対象となっています。もし、それだけの金額が手元にあれば、社長をやるようなパワフルな方ならもう一回立ち上がることができると思います。もしかしたら、このことを知っているか知らないかで、社長の人生が変わるかもしれないのです。