会計事務所が知っておくと喜ばれるオーナー経営者のための「お金の話」「第1回 「ハイリスク請負業の経営者」を守る!」
ニッケイ・グローバル株式会社 代表取締役
MDRT終身会員
大田 勉
ニッケイ・グローバル株式会社の代表、大田勉です。
私が、経営者や土地オーナーの方に向けてセミナーをさせていただいているセミナータイトルは「社長の可処分所得をトコトン増やす具体策」「資産を上手に残す! 讓る! 分ける! 目からウロコの具体策」というものです。
つまり、1円でも多く社長個人も手取りを増やす、次の世代に残余財産を残すという手残りの資金、財産に着目しています。
その気づきを頂いたのは、井上得四郎先生と棚橋隆司先生の書籍「これで企業財務はよみがえる! ―経営の5つの本勘定:受取手形・売掛金・商品在庫・買掛・支払手形」(清文社)との出合いでした。
本書の冒頭である「序─企業と経営者は不可分」は、「『企業』と『経営者』は、表裏一体であり、不可分の関係にあります。」という一節から始まります。その言葉に衝撃を受けました。
というのも、中小企業経営者は企業と経営者が一体であり、企業が取引先の貸し倒れが理由で倒産すれば、銀行借入で経営者の自宅が担保に入っていれば家屋敷まで失ってしまいます。従業員への給与の支払い義務はあるが、経営者は資金がなければ未払いになるなど、「ハイリスク請負業」なのだと改めて気付かされました。
そして、その責任は事業継続であり、倒産させないこと、そのための財務の重要性とお金があれば倒産を回避できるので、1円でも多くお金を残すことの重要性も知りました。
経営者の人生設計をしっかり考え、企業と経営者をつなぐ、経営者の生涯収入(役員報酬と退職金)と税金と社会保険料を計画的にコントロールしていく重要性も同時に気付かせていただきました。
だからこそ、私のセミナーのなかでも4つの財布にお金を分散して残しましょうという考え方をお伝えしています。
それは、「会社」「社長個人」「含み資産」、そして「守る財布」という4つの財布に、お金を分散して残すという考え方で、その4つの財布のどこかにお金があれば事業が継続できるということを伝えています。
その手法として、国の制度、企業内の規程、退職金などの有利な受け取り方、社会保険料の適正化、金融商品(主に生命保険)や不動産や決算対策として組める新規事業の活用など、具体的に「会社と社長個人と次世代にお金を残す手法55連発」をメニュー化して、セミナーのなかでも「企業」と「経営者」は一体だから、企業(公)と経営者個人(私)を別々に考えずに、公私並行して俯瞰的に見て対策を考えること、お金を残すにはセオリーがあることをお伝えしています。