株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏

価値・リスクコントロールマトリクスとは

上場企業は、内部統制の構築において「リスクコントロールマトリクス」をつくり、リスクマネジメントを行うことが義務付けられています。実際の経営では、リスクと同様に価値のマネジメントも必要です。ここでは両方をにらんで価値・リスクコントロールマトリクスをつくります。

上場企業では、内部統制で業務管理を行う際に、三種の神器と呼ばれるものがあります。それは、業務記述書、業務フロー、そしてリスクコントロールマトリクスの3つです。これらをつくり、管理することになっています。
実際の管理では、メインプロセスを定めて、それを中心にコントロールしていきますが、リスクと価値は表裏一体の関係にありますので、価値とリスクについて、その両面を見ながら管理していくとよいでしょう。ですから今回は、「価値・リスクコントロールマトリクス」というフォーマットにしました。

重点管理

価値についても、リスクについても、重点管理が必要です。価値はより大きな価値を得るための活動量や条件設定とその確認が重要ですし、リスクに関しては管理内容を決めたうえで発生時の大きさと頻度から管理内容を決めて管理します。

価値の形成は、有効な活動量に比例しますので、活動量をどれだけ高められるかによって変わります。
あとは条件設定です。どのような条件のときに価値が生まれるかということです。例えば、商品知識や顧客との信頼関係のない人がいくら活動したとしても、逆効果でウザがられたり、嫌われたりすることになり得ます。ですから、価値を生むための条件を設定し、その条件をキープしながら活動量を上げていくことが重要です。それらを意識しながら価値を上げていきましょう。

リスクの管理においては、いくらでも時間をかけることはできますが、その場合、費用対効果の問題があります。どういうことかというと、リスクに対して仮に何も対策をしなかったとしても、事故さえ起きなければOKなのですから、常に費用対効果を考えながら管理する必要があります。
リスクが発生した場合、どのような性質のリスクを、どのように管理するのがよいのでしょうか。リスクの内容によって対応は異なりますので、それらを当てはめたうえで、実際の管理では、発生時のリスクの大きさと頻度により変わってきます。

一つひとつは小さい損害でも頻度が高い場合、ある程度、重要性は高くなります。また、頻度は低くても一度発生すると甚大な損害が発生する場合は、同じように重要性は高くなりますので、何らかの形で管理する必要があります。
価値とリスクは管理方法が違いますので、そこを理解したうえで行いましょう。

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