司法書士法人ソレイユ 代表社員 司法書士
杉谷 範子

人生100年時代を迎えた今、従来の死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「信託」「保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けています。

遺言の作成は必須ですが……

人生100年時代においても、いつかは旅立つときがきます。ご自身が蓄えてきた資産、あるいは先祖から引き継いだ資産をどのように承継させるかは、バトンを次世代に引き渡す者として重要な任務です。そこで、誰に何を継がせるかを指定しておく遺言は必須ですが、令和元年に施行された民法改正により、遺言の効力が弱まり、「早い者勝ち」に変わったのです。
例えば、父親A、長男B、次男Cの3人家族(図1)で、長男Bは後継者、次男Cは非後継者とします。父親Aが「私の不動産全てを長男Bに相続させる」と、自筆遺言(図2)を書いていました。

図1 家族関係
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図1 家族関係
図2 遺言書
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図2 遺言書

「例えば」の話 その1 持分売却

世間一般にはあまり知れ渡っていませんが、父親Aに相続が起きると、次男Cは「長男Bの同意を得ずに勝手」に、「単独で」長男B2分の1の持分、次男C2分の1の持分とする不動産の相続登記ができてしまいます(図3)。
さらに次男Cは自分の持分2分の1を「長男のB同意を得ずに勝手」に、「単独で」第三者へ売却もできてしまいます(図4)。

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