株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士 
長山 宏

管理職を育てるのは難しい

組織が有効に機能するためには、管理職が自らの役割を正しく認識しなければなりません。管理職には責任感を持って、「やるべきことをしっかりやって、責任を果たしていただく」必要があります。
ところが、「なんちゃって管理職」が存在することもよくあり、うまくいっていない場合が少なくありません。
私は大企業の研修をいろいろやってきましたが、大企業の場合、入社○年〜△年のうちに係長になる、課長になる、部長になる、といったルールがあります。これは、特定の時期に必要なレベルに達した人が上がっていく、というものです。
これには問題もありまして、部署によって仕事が全然違うのに、同じタイミングで昇進の機会が訪れてしまいます。管理職と呼べる人を育てるのはとても難しいことであり、どんな部署でも同じ期間で育てられるわけではありません。
課長は実務の責任者として、自分ができることを部下にやらせて育てたり、部下育成のために自分でやってみせたりしなければなりません。そのようにしながら部下を育てること、つまり「人を育てること」が課長の主要な仕事になります。
これがなかなか難しいことでして、適材をうまく育てられないことがよくあります。なぜかといいますと、人間というものの本質を皆、理解していないからです。
自分と部下は別人格です。それなのに、自分は正しく、部下は正しくない、というふうに、自分の心の投影を見てしまう傾向があります。部下ではなく、自分の心の投影を正しいものだと思い込んでいるから、うまく育てられないのです。
部下が自分の心の投影として見えているにもかかわらず、それを理解できないため、相手を本当に育てることができる形でアドバイスが出せない、ということなのです。
根本的な矛盾を抱えながら、管理職が仕事を行っているため、企業のなかで管理職が育っておらず、本来のやるべき仕事がきちんとできていないのが実情です。
多くの会社で、管理職が有効に機能していません。その結果として、決めたことが決めたとおりにできず、「笛吹けども踊らず」という状態になり、組織の目標が達成できなくなっているのです。
社長にとっては、管理職を育てられるかどうかが、結果を出せるかどうかに関わる重要な要素といえます。

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