司法書士法人ソレイユ 代表社員 司法書士 
杉谷 範子

人生100年時代を迎えた今、従来の死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「信託」「保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けています。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例、いわゆる「空き家特別控除の特例」(以下「当該特例」といいます)が、4年間(令和6年1月1日~令和9年12月31日)延長されることになりました。延長されるだけではなく、さらに使いやすくなるため、令和6年以降、当該特例を利用する人が増えると予想されます。ただし、家族信託を組んでいる不動産は要注意です。

空き家特別控除の特例とは

 当該特例は、被相続人の居住の用に供していた家屋およびその敷地等を相続した相続人が、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の要件を満たして当該家屋または土地を譲渡した場合には、当該家屋または土地の譲渡所得から最高3000万円を特別控除できる特例です。
 なお、家屋と土地を共に譲渡する場合には、耐震基準を満たした耐震リフォームを施す必要がありますが、コスト的に見合わないために、家屋を取り壊した後に敷地のみを譲渡する事例が多いと思われます。
 また、当初は当該特例の対象となる家屋について、被相続人が相続の開始の直前において当該家屋に居住していたことが必要でしたが、現在では老人ホーム等に入居していた場合(一定の要件を満たした場合に限ります)も対象となっています(図1)。

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