人生100年時代を迎えた今、従来の死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「信託」「保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けています。

誰しも「おひとりさま」になる可能性があります

「おひとりさま」というと、単身の方を思い浮かべるかもしれません。しかし、シングルはもちろんのこと、子どもがいない夫婦も、片方の配偶者が亡くなると、残された片方は「おひとりさま」になります。さらに、子どもがいたとしても、疎遠となっている方、子どもが海外など遠方で生活している方など、親族がいても核家族が進んだ日本において、最終的に「独り」で人生の終わりを迎える方は増え続けるのではないでしょうか。
データでもそれらが顕著に表れています。65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増加傾向にあり、昭和55年には65歳以上の男女、それぞれの人口に占める割合は男性4・3%、女性11・2%でしたが、令和2年には男性15・0%、女性22・1%となっています。そして、令和22年には男性20・8%、女性24・5%にものぼるとされています(令和4年高齢社会白書より)。70歳や80歳になると、さらにこの割合は上昇することが予想されます。

図1 65歳以上の一人暮らしの者の動向(令和4年高齢社会白書より)
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図1 65歳以上の一人暮らしの者の動向(令和4年高齢社会白書より)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s1s_03.pdf

「終活」は大切

「終活」とは、人生の終わりを迎えるにあたり、自分の「想い」を後に続く人たちに託す活動といってよいでしょう。判断能力がなくなったり、死を迎えると、自分の意思を直接、後世に継がせることはできません。死んでしまったら無になるのか、ならないのか、永遠の課題といえるでしょう。もし、死後も魂が生きているとしたら、自分がいなくなった世界を見たときに、後悔したり悲しんだりしないようにしたいものです。魂が生き続けるのか否かは2分の1の確率だと思うのです。私個人としては、死なない命の存在について7割くらい信じています。
ところで、死ぬ前の段階で、認知症になったときに自分が望んだ生活ができるかどうか、これもまた、準備が必要です。何も準備していないと、裁判所が選任した「成年後見人」に自身の全ての権利を委ねることになり、自分の財産なのに成年後見人に財布の紐を握られて、全く口出しできない状況に陥るケースもあるからです。

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