株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏

社長は会社の全責任を負う

社長は会社の代表者であり、対外的な顔であるとともに全責任を負う存在です。
法律的には、自然人と呼ばれる人間しか法的な責任を負うことはできず、会社が責任を負うことはできません。そこで、会社が責任を負う仕組みとして、代表取締役という、会社の代表として全ての責任を負う存在を、法律上定めたのです。
代表取締役ではない従業員は、実は責任を負いません。代表取締役が従業員に権限委譲を行いますが、いざというときには、代表取締役が全ての責任を負うのです。ですから覚悟が大事です。
突き詰めて考えると、覚悟さえあれば何とかなります。できる、できないは、実は関係ありません。いざというときは「自分が全責任を負うぞ」という覚悟さえあれば、何とかなるものです。
盛和塾に、「未亡人クラブ」という集まりがありました。社長である夫が在任中に亡くなられ、その会社の仕事をしたこともなく、奥様が株式を相続で所有して、何も分からないまま代表取締役になった方たちの集まりです。
お嬢様育ちで一切仕事をしたことがないような人が、ある日突然代表取締役になり、そこからいばらの道を歩み始めます。私は未亡人ではなく、奥さんを亡くした身だったので、準会員として入れていただきました。未亡人クラブの人たちの会社は、無借金経営をしているところがとても多く、夫が経営をしていたときよりも、かえって会社をよくしている場合が多いのです。
これはすごいことです。何が違うのかというと、本人の覚悟が半端ではなかったということです。男と女を比べると、女のほうが強いといわれていますが、それだけではありません。自分が全ての責任を負う。ただし、自分だけではできないので、社員にどうしたらよいかアドバイスをもらいながら柔軟に対応し、最終的には全ての責任を負うという覚悟を持っているから、何とかなるのです。

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