杉谷範子先生の人生100年時代を見据えた「新・相続」「第28回 5年から1年へ!所在不明株主を解消できる会社法の特例とは?」
「任意後見」「信託」「遺言」「生命保険」を合わせて「新・相続®」と名付けました。
司法書士法人ソレイユ 代表社員 司法書士
杉谷 範子
人生100年時代を迎えた今、従来の死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「信託」「保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けています。今回から、100年企業となるための「新・相続」についてご紹介します。
所在不明株主はいませんか?
株主名簿に記載はあるものの、会社から連絡が取れなくなり、所在が不明になってしまっている株主を「所在不明株主」といいます。この「所在不明株主」を放置すると、大問題になる可能性があります。
例えば、M&Aの際に全ての株式を売却できなければ、企業価値は著しく低下することになり、M&Aの妨げになってしまいます。
所在不明株主の株式売却許可申立
所在不明株主が保有する株式等は競売により売却することができますが、中小企業の自社株のように市場価格のない株式については、「裁判所の許可」を得ることで、競売以外の方法により売却することもできます。裁判所に対してこの許可を求める申立てが「所在不明株主の株式売却許可申立」です。
会社は、所在不明株主に対して「5年以上」「継続して」通知等が到達せず、「剰余金の配当を受領しない場合」に、「裁判所の許可」を得て、その株式の売却等(自社による買い取りも含みます)ができます。
「5年間継続して通知等が到達しなかった」ことの事実を明らかにすることは重要で、必ず「6年分の返戻封筒」を資料として裁判所に対して提出しなくてはなりません。
この「5年間継続して」という期間の長さや、裁判所の許可が必要になるというハードルの高さも相まって、手間と時間と費用のかかる手続きになるため、放置している会社も多いのではないでしょうか。
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