株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士 
長山 宏

今回から、「社長業」について解説します。
社長とは、対外的な顔として会社を代表し、会社の全責任を負っている中心人物です。そもそも社長とはどういう役割を果たすのかについて、今回は全体論を述べます。

社長は会社の責任者

社長は会社の責任者です。法的には、代表取締役が会社の全責任を負うという立て付けになっています。法律的な観点では、権利義務を負う主体は自然人たる人間だけです。法人は、会社組織においては、人間と同じような権利義務主体とはなり得ず、法的な責任を負うこともできないので、会社の責任を代表して負う人間が必要になります。その人間が、代表取締役にあたります。
全責任を負う社長は、自分では業務のすべてを行うことができないので、自分がやるべき最重要な機能・働き以外は権限委譲をしながら、適任者を見つけてやってもらいながら、事業目的を追求します。
会社は皆、独自の事業目的を持っており、それぞれ皆、違うものです。人間の能力には限りがあるので、社会で必要とされるもののうち、限定された領域を会社の責任範囲として定めたうえで、その範囲で事業を展開していきます。
社長が思い描いた事業プランをもとに、社員が分担して、皆が同じ方向を目指しながら価値を提供していきます。

社長の役割

社長の役割とは、突き詰めれば①方向を示すこと、②決断すること、③責任を負うことです。つまり、自分は何もやらずに、必要な機能や仕事は皆に役割分担をして、事業目的を意識させながらその方向に導き、最終決断や責任を負うことが役割です。しかし適任がいない場合は、業務の一部を自分がやらざるを得ません。
社長は「こういうことをやる」と決め、適任と思える人たちに権限委譲をして、役割を与え、その人たちにやってもらいながら、後述する全体の「統合」を目指します。
皿回しにおける皿回し役のような感じですが、全体をうまく動かすように機能を働かせていくことが社長の役割になります。

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