杉谷範子先生の人生100年時代を見据えた「新・相続」「第25回 相続登記をしなければ罰金を取られるのですか?と、顧問先に聞かれたら?」
人生100年時代を迎えた今、従来の死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「信託」「保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けて、この連載で紹介しています。来年、再来年にかけて相続にかかわる制度の大きな改正がありますが、相続した土地を登記せずに放置しておくと、令和6年4月1日からは10万円以下の過料(罰金でありません)になる相続登記義務化について紹介いたします。顧問先に聞かれたときに、説明できるよう動画も用意していますので、職員さんにお伝えください。
所有者不明土地問題
現在、所有者不明の土地が増加し、深刻な社会問題となっています。その面積は国土の22%で九州より広く(平成29年国土交通省調べ)、今後ますます増えると予想されます。今まで相続登記が義務化されていなかったため、放置しても不利益がなく、都市部に人口が集中したことにより、地方の不要な土地は費用をかけてまで登記するメリットがありませんでした。
所有者不明の土地を放置した結果……
放置された土地は管理が行き届かず、景観や治安に悪影響を及ぼしたり、近隣住民に不安を与えたりしてきました。また、土砂崩れなどの対策工事が必要な場所であっても危険な状態のままであったり、用地の買い取り交渉ができなくて開発が進まず、土地の有効活用ができないなどの問題が噴出している状態です。
相続登記の義務化とは?
所有者不明土地問題の解決のため、令和6年4月1日から相続登記の義務化が決まりました。不動産を相続や遺贈で取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内での相続登記が必要になります。そして、正当な理由がなく申請が漏れた場合には、10万円以下の過料が科せられます。なお、相続人以外が遺贈を受けて不動産を取得してもこの制度の対象にはなりません。
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