株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏

再現法

部下を指導する際に「再現法」を用いると、少ない時間で部下の実態が手に取るように分かり、有効なアドバイスができるようになります。私は稲盛和夫さんの講演テープから再現法のヒントを得て以来、最高に重宝しています。
稲盛さんは営業員に対して、「顧客に会うところから帰るまでのやりとりを全て再現しなさい」と指示し、どのようなやりとりが行われたのかを再現させます。
これを行うと、部下がどのような意識を持ち、どのように顧客と接しているか、どの程度の知識と力量なのかが手に取るように分かります。
囲碁や将棋の棋士は、対戦を最初の一手から詰むまで全て再現できます。棋士は相手の癖や戦い方のデータベースを頭に蓄積しており、それを意識しながら数手先まで読みつつ対戦しているので、そのようなことが可能なのです。
実際、私も営業マン時代、顧客とのやりとりを詳しく覚えていました。「言った、言わない」の話になったときは、全てのやりとりを示して説明しましたので、言い負かされることはありませんでした。
再現法はとても有効なので、私がコンサルティングをするときにも使わせていただいています。ただ残念なことに、中小企業の営業員でやりとりを正確に再現できる人は稀ですので、大事なことを中心に聞くようにしています。
例えば、「おたくの製品は高い」と言われたという報告があった場合、それからのやりとりを再現させることで、営業員の聞き出す方法論や把握力を確かめることができます。そして、かまのかけ方、つまり相手の顔色を見て「○○円くらいですかね?」と言いながら感触をつかんだり、あるいは指し値を聞かなければ駄目な状況かを見極めたりする方法を指導します。
これはほとんどのマネジャーにいえることですが、部下の報告から状況を明らかにし、全体像をつかみながら指導することができていません。特に営業は外に出たら自分の天下ですので、適切な指導ができず、部下は自己流からなかなか脱皮できません。
多くの会社では上司が同行営業をしていますが、上司がいると部下はいつもとは違う外向けの対応をしてしまいがちです。ですから、皆さんが部下の本当の姿を見ながら指導をしたければ、再現法を使うことをお勧めします。

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