遠藤税理士事務所代表の遠藤公也氏
遠藤税理士事務所(大阪府寝屋川市)は、開業から15年を迎えた会計事務所である。同事務所の代表である遠藤公也氏(次ページ写真)は、会計人としては異色の経歴の持ち主だ。遠藤氏は大学を卒業した後、女性ファッションセールスの道に進み、優秀な成績を記録した。その後、30歳を前にして、全くの未経験の会計業界に飛び込んだのだ。その会計事務所での勤務を経て独立した遠藤氏は、小規模事業者と女性経営者の支援に注力する戦略で、事務所を順調に成長させている。本稿では遠藤氏に、遠藤税理士事務所の取り組みや、今後の展望について伺った。
アパレル業界から会計の世界へ
―― 遠藤税理士事務所は大阪府寝屋川市を拠点に、15年にわたって活動しています。同事務所の規模は大きくはないものの、独自の活動で順調に顧客を獲得しています。
本日は代表である遠藤公也先生に、これまでの取り組みを伺います。まず、遠藤先生のこれまでの経歴をご紹介ください。
遠藤 私は北海道の網走出身です。網走は私が18歳のころは人口5万人、現在では4万人を切りそうな規模の都市です。つまり、産業がほとんどないため、高校を卒業すると、9割が札幌へ、残りは東京などの都市に出ていきます。
私は人生が変わると期待して、東京へ上京する道を選びました。昭和58年のことです。しかし、当時は学歴社会ですから、期待通りにはいきませんでした。そこで今後、東京でどのように生きていこうかと考えた結果、自分が好きで得意な領域へ進むことにしました。
―― どのような業界ですか。
遠藤 ファッション業界です。洋服の販売が他の人に勝てる領域だろうと考えたのです。同じ業界へ進んだ先輩から「婦人服がおもしろい、紳士服は飽きる」と聞いていたので、婦人服を扱う店舗で働き始めました。
当時はバブルですから、洋服はよく売れました。私自身も池袋パルコなど、重要な店舗で数字を残すことができました。バブルの崩壊も私にとってはよかったのです。それは多くの中堅社員が解雇され、結果的に私がエリアマネージャーとしてキャリアアップできたからです。ただ当時、そのままファッション業界で働くことに疑問を持ち始めていました。