株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏
今回から6回にわたり、仕事ができる人の習慣について説明します。毎回、具体的に4つの習慣を挙げていきます。
今回の内容は、私が管理職を対象とした研修で、受講者の皆さんに実践していただいているものです。
研修では毎回、私が挙げる習慣について1週間毎日意識していただき、日々の反省を○・△・×で記録してもらいます。仕事ができる人の習慣を身に付けるために、6カ月にわたって実践していただく内容となっています。
仕事ができる人は、朝からやるべきことに着手できるのに対して、できない人は嫌な仕事を先延ばしにして、多くの負債を抱えてしまっています。そのため、後ろ向きな仕事に振り回され、やるべきことに着手できずに「忙しいけれど成果は出ない」状態に陥っているのです。
本稿ではできる人の習慣について、具体的に詳しく説明しますので、皆さんの仕事の進め方の参考にしていただければ幸いです。
分かるまで聞く
人の脳は、自分にとって都合がいい解釈をするようにできています。そのため、無意識に事実を曲げて解釈し、相手との齟齬(そご)が起きがちです。
そうならないためには、相手から何か依頼をされたら、依頼の趣旨や、何を要求されているのかを考えながら話を聞く必要があります。さらに、自分の理解度を相手に確認してもらい、齟齬がないことを確認しなければなりません。そこまでやらないと、正しいコミュニケーションは成り立ちません。
ここで特に重要なのは、少しでも分からないことがあれば、分かるまで聞くことです。
多くの人は、分からないことがあっても相手に聞かず、自分の解釈でごまかしてしまいます。「聞いたら相手に嫌な印象を与えないか」「相手からばかにされないか」という恐れを感じ、一歩前に踏み出せないのです。
その結果、依頼の趣旨を正しく受け取れず、相手の要求に応えることができません。仕事で起きる問題は、必ずといってよいほど「えも言われぬ恐れ」のため、納得できるまで話を詰められなかったことに起因しています。
その点、仕事ができる人は「えも言われぬ恐れ」に支配されていないので、「納得するまで聞く」ことができます。さらに、自分の理解度を相手に確認することもできるので、常にコンセンサスを得ながら仕事を進めることが可能なのです。