株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏
今回は、脳を鍛える方法をご説明します。
以前は、「大人になると脳は発達しない」といわれていましたが、脳科学の進歩により、「死ぬまで発達できる」ことが分かってきました。
私は親の介護を10年間行いましたが、寝たきりになると、途端にアルツハイマー気味になるのに対して、歩かせると頭がはっきりしてくることを経験しています。ですから、脳は大人になったらあとは衰えるだけではない、死ぬまで発達するということには納得感があります。
本稿では、脳を鍛える科学的方法をご説明しますので、しっかりと学んで血肉化していただければ幸いです。(参考文献:「何をやっても続かないのは、脳がダメな自分を記憶しているからだ」、岩崎一郎著、クロスメディア・パブリッシング、2013年)
脳が変化するスパン
カリフォルニア大学のスピッツァ博士らの実験により、脳の変化は極めて短時間で起こることが分かっています。
1週間もすると脳細胞のネットワークが変わり始め、つながりが変わります。習慣で脳の構造を変えることができるわけですから、人生を豊かにするために、脳を変化させることは大事です。
ここでは4つの方法をご紹介します。
運動をすると脳がよくなる
イリノイ大学のクレーマー博士の論文には、「運動で脳の高次機能が高まる」と紹介されています。
高次機能とは、例えば「仕事の時間配分をする」「計画を立てる」「短期的な記憶をする」「いくつもの仕事を同時並行的にこなす」「あいまいな条件でも決断する」などの能力です。
運動をすることで、なんと高次機能が7倍に跳ね上がり、スピードも3倍に跳ね上がったのです。
このことを反映しているのかどうかは分かりませんが、米国では「勉強ばかりしていて遊ばないと、子供は馬鹿になる」といわれています。
さらに、ピッツバーグ大学のエリックソン博士らは、120人の協力を得て運動量と記憶に関する脳(海馬)の大きさの関係を調べました。
それによると、普段から運動をしている人はそうでない人に比べて海馬が2%ほど大きく、記憶力も優れてるという結果が出ました。
そして、普段運動をしていなかった人が運動を始めると、7週間後には海馬の大きさに違いが出るのです。
また、イリノイ大学のテマンソン博士は、ミスをしたときにくよくよする脳波と、前向きな脳波がどう出るかを、運動をしている人と、していない人とで比べました。
すると、運動をしている人はくよくよする脳波が少なく、前向きな脳波が多いのに対して、運動をしていない人は逆にくよくよする脳波に取りつかれ、前向きな脳波が少ないことが分かりました。
このことから、運動をする人はメンタルが強いといえそうです。
柔道で、「健全な魂は健全な肉体に宿る」といわれていますが、これはそのことを示しているのではないでしょうか。