株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏

今回は、身近な人の行動を変えるにはどうすればよいのか考えてみましょう。
身近な人の行動を変えようとする場合、「叱ること」や、「アメとムチ」といった行動を取ることが多いでしょう。多くの人がよかれと思い、相手のことを思い、このようなことをしますが、なぜかうまくいかないという実感をお持ちだと思います。
本稿では、その実感の正しさを科学的に示していきたいと思います。皆さんの家族や社内の同僚、部下に接する際の参考にしていただければさいわいです。

なぜ叱ると効果がないのか

私たちが、相手に「こうしてほしい」と思ったときのことを考えてみましょう。
相手に「ちゃんとしてほしい」と思い、「なぜできないのか?」「もっとこうできないか?」「それではこんなことになってしまう」といった感じで、「叱る」という行動を取りがちです。
しかし、叱るとかえって反発されたり、自信ややる気をなくされたりして、多くの場合はうまくいきません。なぜでしょうか?
脳科学的にみると、以前にもご説明した「6秒の原則」が関係しています。自ら取ったマズイ行動と、人が取った行動(叱ること=叱られること)を関連付けて反省するには、6秒以内でなければなりません。6秒を過ぎてしまうと、脳が関連付けられません。
つまり現行犯逮捕のときしか、「反省」の脳の回路は起動しないのです。それ以上経っていると、潜在意識が「報告したら叱られた」と捉えてしまいます。その結果、「報告するのは損なのでやめよう」と考えるようになってしまいます。
よかれと思って取った行動(叱ること)が、「報告するのはやめよう」というように悪い方向に向いてしまいます。それでは逆効果であり、お互いに信頼関係がなくなっていき、人間関係が悪くなってしまいます。

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