株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏

人間は習慣に支配されています。行動の約90%が習慣によるものなので、習慣を変えられるかどうかが人生を決めるといっても過言ではありません。しかし、「毎日コツコツやる」のは最も難しく、なかなかできない難題です。今回は、どうすれば習慣を変えることができるかを、脳科学的観点から説明します。

習慣化に必要なこと

よい習慣を身に付けることは、脳科学の重要なテーマです。これまでに数々の実験が行われ、重要な要因が割り出されています。
第一が意志(やる気)です。人は新たな行動が必要になったとき、リスクがあるのでできれば避けたいと思うものです。それを押して習慣化させるには、強い意志が必要です。
なお、ここでいう意志というのは根性ではありません。以前ご説明しましたが、お菓子を我慢できるなど、意志の強い行動を取れた子供は、違うことを考えるなどの工夫により、我慢しなくともよい方法を編み出した人でした。楽しみ方を知っている人ともいえそうです。また、「快」を感じることでやる気が起きますので、「快」を起こす工夫が大事です。
第二は実行プランの立案です。これも数々の実験が行われており、実行プランを立案している人が習慣化を可能にしています。この2つの項目について詳しく説明します。

意志を高めるには

習慣化するにはまず、やる気を出して嫌な気持ちと闘い、勝つ必要があります。そのためには、「快」を感じられる工夫が大事です。脳は「快」を感じれば、やる気を出してくれます。
ラットの実験では、快さに関係する脳内物質ドーパミンは、「褒美をもらったとき」に多く検出されました。ですから自分に褒美をあげる工夫が必要です。
私は元プロ野球選手の清原和博さんのYou­Tubeチャンネル「清ちゃんスポーツ」で、「大好きなスイーツを我慢してダイエットに挑戦する企画」を見ました。栄養士がついて1週間我慢したら、ご褒美に大好きなスイーツをたらふく食べてもよいチートデイとするという企画でした。清原さんが「チート飯」を心から味わいながら食べている姿を見て、「まさにこれだ!」と思いました。
また、私はボクシングをしていますが、レッスンを受けている人たちと一緒に一定期間ダイエットをしました。毎日食べたものを写メにして送り、先生からカロリー数とアドバイスをもらい、先生や仲間から励ましの声をもらうことでやる気が出ました。
よくダイエットではどれだけ体重計に乗るかが大事だといわれます。ここで重要なのは、少しの食事改善やトレーニングでどれだけ体重が変わったかが分かる精度の高い体重計を使うことで、自らに褒美をあげることです。
また、食事からドーパミンを増やす成分を摂ることができます。それはチーズから見つかったアミノ酸のチロシンという物質ですが、チーズだけでなく納豆やかつお節にも含まれています。食事でドーパミンを増やすのもありですね。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
すべての記事が読める「実務経営研究会会員(有料)」へご登録いただくと続きをご覧いただけます。