司法書士法人ソレイユ 代表社員 司法書士
杉谷 範子

人生100年時代を迎えた今、従来の死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「信託」「保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けて、この連載で紹介しています。

あけまして、おめでとうございます

緊急事態宣言が解除になり、年末年始は久しぶりにご実家に帰省されて、ご親族と団らんのひとときを過ごされた方も多いと思います。親が介護状態になったときにどうするか、実家についての話題など、切り出すのは難しかったかと思いますが、お話し合いはなさいましたでしょうか?

前回のまとめ

実家(親が住む自宅)の所有者など、財産の所有者が認知症などの原因で判断能力がなくなると、本人の代わりとなる成年後見人を立てなくては財産の管理や処分ができません。成年後見制度は、事前に本人が元気な間に後見人の候補者を定めておく「任意後見」と、本人が候補者を定めず、判断能力がなくなった後に家庭裁判所が後見人を選任する「法定後見」の2つに分かれます。
現在、法定後見では、後見人として家庭裁判所が弁護士や司法書士などの専門家を選ぶ割合は7割超となっています。一方、任意後見は、後見候補者をあらかじめ選んでおくことはできますが、いざ、後見が必要になりスタートするには「任意後見監督人」を家庭裁判所に選んでもらう必要があります。この監督人は前記の専門家が就任します。そして、どちらの制度においても、ご本人の財産を減らさないための運用がされており、いったん後見が開始したら、原則、途中でやめることはできません。専門家報酬も一生続くことになります。
さらに、法定後見では、実家を後見人が売却するには家庭裁判所の居住用不動産処分の許可が必要になり、ハードルが上がることになります。
そこで、現在、裁判所を関与させない柔軟な財産管理の方法として、家族信託が脚光を浴びていますが、実家に特化した「実家信託Ⓡ1」を私たちは推進しています。

1)「実家信託」は司法書士法人ソレイユの商標登録です。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
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