日本経営ウィル税理士法人
トータルソリューション事業部
韓国税務担当 顧問税理士 親泊伸明
韓国税務担当韓国税務担当 李 榕濟(イ・ヨンゼ)
韓国税務担当 崔 暎銀(チェ・ヨンウン、日本名:戸野由理)
韓国の相続および贈与財産の評価について教えてください。
今回は、相続税課税において重要な韓国の相続・贈与財産の評価について説明します。財産の評価は財産の種類別にその評価方法が定められていますが、ここでは重要な項目である不動産の評価と有価証券の評価を中心に説明します。
相続および贈与財産の評価
1 評価の原則
韓国の相続・贈与財産の評価は、相続開始日(贈与日)現在の時価により評価するのが原則です。
ここで時価とは、「不特定多数の人間に自由に取引が成り立つ場合に通常的に成立すると認められる価額」をいいます(韓国相続税及び贈与税法第60条第2項)。また、相続開始日前後6カ月以内(贈与の場合は贈与日前6カ月から贈与日後3カ月以内)の期間中に売買・鑑定・収用・公売または競売がある場合には、その価額も時価として取り扱われています。
相続開始日前後6カ月以内か否かの判断は、取引価額は売買契約日、鑑定価額は鑑定価額評価書の作成日、収用・補償・競売価額は価額決定日を基準にします。また、時価とみられる価額が2以上の場合には、評価基準日から最も近い日に該当する価額(その価額が2以上の場合にはその平均額)を適用します。
2 補充的評価
財産の評価は評価基準日の時価で評価しますが、相続開始日(贈与日)時点で客観的な時価を算定することは実務的に易しいものではありません。従って、時価がない場合や時価を算定することが困難な場合には、財産の種類、規模、取引状況等を考慮して規定された方法(以下、補充的評価方法)により評価した価額を時価と規定しています。日本の場合も相続税法では「時価」によると規定されているにもかかわらず、実務では財産評価基本通達(以下、「評価通達」という。)によっているのと同様に、韓国の場合もこの補充的評価方法に基づく評価がほとんどの場合に適用されています。
ただし、韓国の場合は半年以内に売買があるなど時価が明確な場合には、その価額を適用します。