司法書士法人ソレイユ 代表社員 司法書士
杉谷 範子

人生100年時代を迎えた今、従来のように死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「家族信託」「保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けて、この連載で紹介しています。

100年企業の証券会社「共和証券」の巻

共和証券株式会社は、家族信託の信託口証券口座を開設できる数少ない証券会社のひとつです。
そのルーツをひもとくと、神奈川県秦野で代々、醤油醸造業兼米穀商を営んできた梅原家にあります。今回、老舗企業の経営方針、永続経営に関する秘訣について、4代目の梅原知彦社長が特別に取材に応じてくださいました。

梅原知彦氏 杉谷範子氏
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共和証券株式会社代表取締役社長の梅原知彦氏(左)と本連載著者の杉谷範子氏(右)

企業を長く継続させる秘訣

杉谷 共和証券株式会社は昭和8年に設立とあります。そのことでもかなり驚くべきことですが、本当はもっと古く、明治30年(1897年)に梅原脩平支店に証券部が創業されてから、既に120年以上の歴史があり、現在まで脈々とオーナー企業の生命をつないでいらっしゃるのですね。

梅原 当社は創立当初から自己資金の運用のためのコメの商品先物など、証券ではない部分でも金融商品は身近にありました。証券と商品先物は、もともと親和性があるのです。コメを商っていた方たちによる証券会社は、今は合併して社名は変わりましたが、山種証券さんなどもそうですね。

杉谷 時代の流れに合わせて、昔は米屋だった商店が商品先物や証券などを扱うようになったのですね。老舗企業は自己変革力を持ち、変えるモノと変えないモノをより分けているといわれています。

梅原 現在のメインは証券会社ですが、以前は米穀商や醤油醸造業を営んでいました。もともと証券はメインではありませんでしたが、メインでない証券会社が残っています。時代によって形態を変えることが必要なのかもしれません。

杉谷 多くの商いにおける選択肢があるなかで異なる業種を扱い、それを伸ばすことには相当のエネルギーが必要ですね。時代とともに「変えていく」ことは、トップダウンというか、トップの方の思い切りがよくないと難しいのではないでしょうか。

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