株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士 
長山 宏

 この連載では、「役員業」について解説していきます。第2回は、役員の仕事について考えます。
 課長は実務の責任者、部長は組織の責任者です。課長と部長は、「人に委ねて結果を出す」のが仕事です。
 一方の役員は、事業の責任者であり、「仕組みに委ねて結果を出す」のが仕事です。事業の設計・運用と、仕組みの構築・運用が主な役割となります。
 以前に「部長業」に関する連載を書いたとき、「部長は役員がつくった仕組みを現場の責任者として改善の提案をすることが大事な役割だ」とお伝えしました。仕組みをつくる(意思決定をする)のが役員、その仕組みを現場がやりたくなるように改善するのが部長です。
 経営者の一角である役員と、社員の代表である部長の違いを押さえるのは大事ですから、このことをよく認識してください。

事業の責任者として大事なこと

 役員は事業の責任者です。事業とは社会の構造上の欠陥を、商品を通して改善するものであり、循環構造になっています。
 社会の構造上の欠陥は、政治、経済、社会、技術のひずみに対して、各企業や役所が完璧ではなく、利己的な行動を取るために生じます。
 各プレイヤーがどうしたいかを考えると、顧客から見て「割を食わざるを得ない部分」が見えてきます。事業においては、その問題を解決するために商品を開発し、事業を設計し、運用を行います。
 役員が仕事をするうえで、重要なことを説明します。

視点

 役員には、物事を「どのような構造になっているのか」と分析したり、「なぜそうなるか」と考察したりするような「構造を見る視点」が必要です。そのような視点がなければ、各業界における「構造上の欠陥」を捉えることができません。
 社会を大きくざっくりと見て、どうなっているのかを構造として捉えることで、構造上の問題が見えてきて、それを解決するための問題意識が芽生えます。何事も問題意識なくしては始まりませんので、視点は重要です。

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