株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士 
長山 宏

 皆さまこんにちは。今回から6回にわたり、「役員業」について解説します。
 第1回は「法的側面」です。一般には、役員は「偉い人」と思われていて、法的側面やその恐ろしさはあまり知られていません。内容としてはごく当たり前のことですが、普段あまり気にされていないことについて、多少デフォルメして述べたいと思います。

法律関係の違いについて

 一般社員(非役員で部長までの階層の社員)と役員は、会社との関係が法律の観点から異なります。労働契約で保護されている一般社員に対して、役員は委任契約です。
 労働契約とは極端な話、体を会社に差し出し、指示を受けて自分の能力を提供して、その依頼に応えるということです。ですから、会社の指示に従って働けば免責されます。結果責任は問われません。また、指示がなければ時間を拘束されていることが大事であって、成果を出さなくても給与はもらえます。ただし、それではやりがいもなく、成果が期待できません。
 ですから一般には、一定の権限を委譲されて役割を与えられ、それを自ら考えて工夫しながら成果を上げることを期待されて働きます。一定の責任を負っているように見えますが、いざとなったときは代表取締役が責任を負うことになり、一般社員は責任を負わなくてもすみます。
 一方、役員と会社との関係は委任契約であり、委嘱された内容について責任を負うことから、一般社員とはいくつかの違いがあります。

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