株式会社カクシン 代表取締役 公認会計士 長山 宏 氏

6 計画

中小企業にとって、経営計画は鬼門です。筆者も中小企業の社長さんから、「経営計画といわれても、何をどのように計画したらよいのか分からない」という相談をよく受けています。
ISO9001:2015の規格要求事項の第6章「計画」を見れば、このような相談に対するひとつの回答を得ることができます。

計画の対象

ISO9001:2015では、次のような計画を立案します。
・リスクおよび機会への取り組みの計画
・プロセスへの統合や有効性評価の計画
・品質目標達成のための計画

リスクおよび機会への取り組みの計画

リスクの定義
リスクとは、不確実性の影響と定義されます。先の見えないことが組織に与える影響のことをリスクと呼ぶのです。
リスクへの取り組みとは、具体的にはリスクの回避、ある機会に関連するリスクを取る、リスク源の除去、リスクを管理して発生頻度を減らす、リスクの共有、リスクの保持などです。

機会の定義
機会とは、既に明らかになっている事柄に関する、目的の達成に有利な状況や事態のことです。
具体的には、新たな慣行の採用、新製品の発売、新市場の開拓、新たな顧客への取り組み、パートナーシップの構築、新たな技術の使用、および組織や顧客のニーズに取り組むためのその他の望ましくかつ現実的な可能性などです。

リスクおよび機会の決定方法
次の項目を実現しようとするときに発生が予想される事態を検証し、それがリスクや機会になるようならリストアップします。
・品質マネジメントシステムが、意図した結果を達成できるという確信を与える。
・望ましい影響を増大する。
・望ましくない影響を防止または低減する。
・改善を達成する。
なお、何がリスクや機会になるのかを決める際には、組織の能力に影響を与える内部および外部の課題や、利害関係者の要求事項を考慮する必要があります。

計画の立案
リスクおよび機会を決定したら、それらに対する取り組みの計画を立てます。
この計画は、役員や部長レベルの人が立案する経営レベルの計画です。
品質マネジメントシステムが係長レベルのプロセスオーナーによって確実に運用・実行されることを前提に、システムに影響を与えるリスクや機会に対してどのような取り組みをするのかを、経営レベルで計画するのです。

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