司法書士法人ソレイユ 代表社員 司法書士
杉谷 範子

人生100年時代を迎えた今、従来の死亡に備えるだけでは足りません。「任意後見」「遺言」「信託」「保険」を4本柱とした、生前対策を含めた相続を「新・相続」と名付けて、この連載で紹介しています。

ソレイユ工務店㈱の巻〈後編〉

前回のおさらい

(本稿に掲載された会社名、個人名はすべて仮名です)
ソレイユ工務店㈱は、住宅建築で地域ナンバーワンの実績があり、現在は、父親の茂さんは会長職へ退き、長男の賢司さんが社長として、さらに業績を伸ばしています。長期的な経営計画の実現のためには、経営のバトンタッチが必要ですが、株価が高く株式の移転がなかなか進みませんでした(図1)。
そこで、事業承継のための株式信託、題して、「事業承継信託」を会長に勧めることにしました。私どもが提案する信託は、信託銀行や信託会社を通さない「家族信託」「民事信託」と呼ばれている仕組みです。
信託には委託者、受託者、受益者の3つの役割がありますが、どれもよく似た言葉です。これらの「専門用語」を使ってお客様に説明してしまうと、用語の確認で頭が混乱してしまい、肝心の話の中身が疎かになることが考えられます。実は私も信託を学んだ当初は、ひとつひとつ、言葉をかみしめながら、理解に努めていました。
一般のお客様にとってはなおさら、訳が分からなくなりそうですので、私どもは専門用語を使わずに、あえて、「ケーキ」と「箱」のみで信託の説明をしています(図2)。

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