株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏

前回に続き、今回もティール組織が一般の組織と違う点について説明します。

ティール組織ではスタッフ機能はあまり必要ない

「スタッフ機能」とは、組織が大きくなったときに、全責任を負う社長が判断を誤らないようにするための機能です。
社長が意思決定をする際に、スタッフが代替案や事前に考えられる可能性を調べ、社長に提供することで、判断の誤りを少なくします。意思決定の権限が社長に集中している場合は、なくてはならない機能です。
もしもスタッフ機能がなければ、大きな体に対して頭脳が小さい状態になるので、「氷河期に恐竜が環境適応できずに絶滅した」ように企業体を維持発展させることができなくなります。
それに対して、ティール組織では現場の社員が各自の仕事については全責任を負うので、必要なことは自分で調べたり、詳しい社員に聞いたり、外注が必要な場合は自らの責任において手配をします。ですから、スタッフ機能を組織として設ける必要は特にないのです。
企業において、価値を生み出しているのは現場の仕事です。それ以外の仕事は現場を支援し、現場が価値を生み出せるようにするためのものです。その原則が十分に体現されているのがティール組織であり、現場に集中できる構造になっているのです。
ある役割を決め、それをひとつの組織にすると、常に仕事がなければならないので、自己増殖を始めて本来やるべきこと以外の仕事も当たり前のように発生します。
そして、本来なら依頼に応えて貢献するべきところを、違った形に機能するようになり、支援ではなくコントロールするようになるといった問題行動が起きてしまいます。
全ての行動は、目的意識を持ってやれば問題ないのですが、普通はなかなかそうはいかないために、ムダが発生する動きになってしまいます。
ティール組織では、現場担当者が全責任を持って正しい行動ができるように、関係者全てに連絡しながら、自分のやりたいことの意図を伝え、アドバイスを求めています。その行動が、実は素晴らしいスタッフ機能となっており、組織として固定化された役割は必要なくなるのです。

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